1995 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌に対する遺伝子治療の基礎的検討 -ウイルス由来チミヂンキナーゼ及びガンシクロビルによる殺傍細胞効果-
Project/Area Number |
07671781
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鮫島 義弘 大阪大学, 医学部, 助手 (30231351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信永 敏克 大阪大学, 医学部, 助手
東 千尋 大阪大学, 医学部, 助手 (20151061)
佐治 文隆 大阪大学, 医学部, 講師 (90093418)
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Keywords | 婦人科癌 / 遺伝子治療 / 子宮内膜癌 / 絨毛癌 / ヘルペスウイルス / チミヂンキナーゼ / ガンシクロビル / バイスタンダー効果 |
Research Abstract |
1.ウイルス由来チミヂンキナーゼ遺伝子陽性婦人科癌細胞株の樹立 子宮内膜癌培養細胞株2種ならびに絨毛癌培養細胞株2種に対して,ヘルペスウイルス由来チミヂンキナーゼ遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだプラスミッドを,リポソーム法を用いて導入した。プラスミド遺伝子を安定的に導入された細胞はネオマイシン抵抗性となっているはずであるので,ネオマイシン誘導体のG418を用いて第1次の選択を行い,複数個のクローンを得た。次に,第2次選択として抗ウイルス薬のガンシクロビル感受性試験を行い,高感受性のクローンを選択し,ガンシクロビル高感受性ウイルス由来チミヂンキナーゼ陽性婦人科癌細胞株4種類を樹立することに成功した。 2.婦人科癌における殺傍細胞(バイスタンダー)効果の検討(in vitro) 1.で樹立されたウイルス由来チミヂンキナーゼ陽性婦人科癌細胞株4種を,由来した元の細胞株と種々の割合で混合培養し,これに対して種々の濃度のガンシクロビルを数日間作用させた後,生存細胞数を色素(トリパンブルー)排出法を用いて検討した。ウイルス由来遺伝子を導入されていない元の細胞株は,当然の事ながらガンシクロビルの作用は受けずに生存し,増殖した。一方,元の細胞株をウイルス由来チミヂンキナーゼ陽性細胞株と混合培養したガンシクロビルを作用させたところ,ガンシクロビルの作用を受けないはずの元の細胞株もチミヂンキナーゼ陽性細胞株と共に死滅した。このことは,子宮内膜癌および絨毛癌においても殺傍細胞(バイスタンダー)効果が存在することを示しており,婦人科癌に対するヘルペスウイルス由来チミヂンキナーゼ遺伝子を用いた遺伝子治療の可能性を示すものである。
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