1995 Fiscal Year Annual Research Report
新規生理活性リン脂質により誘導される血管平滑筋細胞の増殖と遊走
Project/Area Number |
07672363
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳村 彰 徳島大学, 薬学部, 助教授 (00035560)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / 高血圧自然発症ラット / 血管平滑筋細胞 / 細胞増殖 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
動脈硬化は、年々患者数が増加している心血管や脳血管性疾患の主因となる病態である。本研究では、新規生理活性リン脂質リゾホスファチジン酸(LPA)がこの病態の発症や増悪に関与する可能性を検討した。高血圧自然発症ラット(SHR)とその対照動物(WKY)の胸部大動脈中膜より酵素法にて血管平滑筋細胞を単離後、経代培養しLPAに対する増殖応答を比較した。LPAを含む培養液中では、WKY由来の細胞に比べSHR由来の細胞の方がはるかに高い速度で培養液に加えた[^3H]チミジンを取り込みDNAを合成した。また、LPAで刺激後、両群の細胞数を測定したところ、SHRの方がWKYよりも数が有意に高いことが判明した。これらDNA合成と細胞分裂の指標について、LPAの濃度依存性を詳細に調べたところ、SHRでは、その濃度作用曲線が左にシフトし、最大反応値がt増加しED_<50>値が減少することが明らかとなった。これらの結果から、SHRの血管平滑筋細胞がLPAに高い感受性を示す原因として、LPA受容体の過剰発現やそれ以降のシグナル伝達機構の増幅が予想されるので更に検討を加えたい。また、正常組織と比較して動脈硬化巣にLPAやLPA生成酵素活性が高いか否かを試験し、このリン脂質性増殖因子の病態生理学的役割の一端を明らかにしたいと考えている。
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