1995 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴルにおける食習慣が歯の咬耗および顎関節形態に及ぼす影響に関する調査研究
Project/Area Number |
07672434
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 和裕 東北大学, 歯学部・付属病院, 講師 (10125594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 喜雄 東北大学, 留学生センター, 教授 (70004885)
長坂 浩 東北大学, 歯学部, 助手 (70217983)
駒井 伸也 東北大学, 歯学部・付属病院, 助手 (90234864)
三條 大助 東北大学, 歯学部, 教授 (70013943)
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Keywords | 口腔疾患 / 口腔内環境 / 生活環境 / 漢民族 / 蒙古民族 / 顎関節疾患 / 咬耗 / エックス線検査 |
Research Abstract |
口腔疾患は個人の体質、口腔環境及び生活環境(生活習慣)によって成立する。近年、顎関節症において顎関節円板の位置異常の誘因として、食生活と筋肉・骨格系の欧米化が問題視されている。そこで、日本人の生活環境の変化が顎口腔領域におよぼした影響を知る手がかりを得ることを目的として、日本人のルーツとされる蒙古民族の歯や顎関節を調査することは、顎関節症の発症原因を究明する上で極めて有意義であると考えられる。今回は、その第一段階として中国吉林省北方地方の都市部において、2歳から70歳までの男女428名(男性207名、女性221名)について齲蝕、歯周疾患、口腔粘膜、口腔清掃状態、顎関節症状の有無、および食習慣などについてアンケート調査と集団検診及び顎関節X線検査を行い、以下の結果を得た。(1)各年代層の主食は米や小麦で、肉類は過半数が食べていた。(2)齲蝕を自覚している割合は54%であった。また、歯痛の経験は48%にみられ、歯科治療は39%の人が経験していた。(3)顎関節の疼痛の経験は12%、雑音の自覚は20%、開口障害は7%にみられ、発症の低年齢化が認められた。(4)顎関節の形態的異常は日本人に比較して極めて少なかった。(5)歯石はみられたが歯槽骨の吸収は少なく、歯の動揺も殆どみられなかった。(6)咬耗は各年代層にみられ、加齢とともに進行する傾向がみられた。 今回の調査では、前回と異なり齲蝕や顎関節症の症状が多くみられ、歯科治療経験の割合が高かったことが特徴的であった。これらの口腔疾患の発症は、生活環境(主食)等が現代日本に近似していることが大きな要因と考えられた。今後、更に生活環境の異なる都会において同様な調査をする必要性が示唆された。
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Research Products
(2 results)