1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680008
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
長谷部 ヤエ お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (50017232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 博 帝京大学, 心臓血管外科, 助手 (10180291)
入来 正躬 山梨医科大学, 副学長 (90072967)
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Keywords | 熱的快適性 / R-R間隔 / 心拍変動 / スペクトル解析 / 作用温度 |
Research Abstract |
姿勢変化実験(実験A)と非定常環境実験(実験B)を行った。被験者は実験Aでは3名、実験Bでは実験Aの3名を含む6名である。被験者には女子大学生であり0.6cloの実験服を着衣させた。実験Aでは26℃の環境で椅座位、立位、仰臥位を各々20分とらせた。実験Bでは上昇実験と下降実験を行った。実験中、上昇実験では人工気候室の作用温度を16℃から26℃まで上昇、下降実験では26℃から16℃まで下降させた。これら環境に椅座位の被験者を曝露させた。実験A、Bとも心電図と皮膚温(前腕、第3指)を測定し、実験Bでは30分毎に温冷感、快不快感、許容度を申告させた。解析には実験Aでは3名、実験Bでは6名中5名の主観申告値、上昇実験では6名中5名、下降実験では6名中3名の生理的測定値を用いた。単位時間当たりのR-R間隔時系列データを用いて、時間領域(平均値(AV_<RR>)、変動係数(CV_<RR>))と周波数領域の両領域の解析を行った。周波数領域の解析にはフーリエ解析(FT)と最大エントロピー法(MEM)を用い、低周波帯域成分(LF)、高周波帯域成分(HF)、LF/HFを求めた。これらが熱的快適性を評価するのに有効であるか、また自律神経の評価基準となるかを検討した。自律神経の負荷が大きく異なる姿勢変化実験において、心拍変動解析法が自律神経の評価基準となることが確認できた。本研究の主目的である温熱環境の変化が感覚に与える影響に関しては、AV_<RR>、CV_<RR>、HFは寒冷環境において温冷感の客観的指標となり得る可能性があると考えられる結果が得られた。しかし、快不快感と許容度については過去の知見と一致しない結果を示した被験者の方が多かった。自律神経により強いストレスのかかるような温熱環境状態、温熱環境以外のストレスが排除されている状態、自律神経系のバランスが心拍変動に反映されやすい被験者等の条件においては過去の知見と矛盾しない結果が得られるのではないかと推測される。またこの実験の解析にMEMが妥当であることが確認された。
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