1995 Fiscal Year Annual Research Report
並行分散オブジェクト指向言語の設計とその処理系の開発
Project/Area Number |
07680369
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
原田 賢一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00051615)
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Keywords | 並行オブジェクト指向言語 / 分散処理 / 実行時環境 / 能動オブジェクト / 非同期通信 |
Research Abstract |
本年度は,分散環境のもとでの並行オブジェクト指向計算モデルの構築,そのモデルに基づくプログラムを記述するための言語の設計,単一プロセッサ上での処理系の試作を行った。概要は次のとおりである. 1.計算モデルの構築:オブジェクトを並行処理の単位として,それらが分散システム上で能動的に動作する計算モデルを構築した.このモデルでは,順路式(path expression)を用いて,各オブジェクトの能動的な振舞を記述するようにした.非同期通信に関しては,計算結果を非同期に受信するための受け口を送信メッセージ中に含めるようにし,一対多通信と非同期通信との柔軟な組合せを可能にした. 2.言語仕様と実行時環境の設計:上述のモデルに基づいて,C++の構文を基盤とした言語仕様を定め.その言語で記述されたプログラムを実行するための実行時環境の設計を行った. 3.単一プロセッサ上での実現:単一プロセッサ上での実行時環境の整備を行い,言語処理系の試作を進めている.実行時環境は,BSD系のUnix上で既存のプログラミング言語であるC++を用いて実装した.この実行時環境では,平行オブジェクトをUnixのプロセスとして実現し,オブジェクト間通信は,BSD Unixのソケットを利用して,SIGNALによる非同期のメッセージ授受として実現している.これらの仕組みを用いて,一対多通信を行うためのオブジェクト マネージャ,および非同期の結果受渡しのための宛先オブジェクトの実装を行った.言語処理系については,現在,コード生成部の開発を行っている。
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