1995 Fiscal Year Annual Research Report
海面水温上昇に伴う台風の発生・発達・経路の変化の統計予測に関する研究
Project/Area Number |
07680496
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤井 健 京都産業大学, 一般教育研究センター, 教授 (10065807)
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Keywords | 台風 / 海面水温 / 北西熱帯太平洋 / 台風発生率 / 台風発達率 / 台風確率モデル / 台風気圧分布 |
Research Abstract |
米国の研究機関が作成した『総合海洋気象観測データ』の海面水温および気象庁が作成した『台風ベストトラックデータ』を用いて,北西熱帯太平洋海域における海面水温と台風の発生率,発達率および経路の統計解析を行った。この結果,台風は海面水温が28.8-29.4℃の海域で発生率が最大となり,水温が30℃以上になると発生率はむしろ減少することが明らかになった。この事実は,今後地球温暖化に伴って海面水温が上昇した場合の台風発生数の予測に利用できるであろう。また,発達率の最大値は海面水温の上昇とともに増加することが明らかになった。なお,現在,『総合海洋気象観測データ』でデータが欠乏している1986年以降の海面水温のデータを補うために,気象庁から『北西太平洋海面水温データ』の提供を受け,同様な解析を試みている。また,台風の数値モデルについては,過去の種々のモデルの比較検討を行っている。これら一連の統計解析には,平成7年度に納入したパーソナルコンピュータを利用した。さらに,台風モデル化にとって必要な台風域内の気圧分布の特性について調べた結果,南西諸島襲う小型で強い台風にはSchloemerが提案した式にもう一つパラメターを追加する(Hollandの式)必要があるが,1991年の19号など日本本土を襲う強い台風はSchloemerの式で近似できることが明らかになった。平成8年度には,この統計解析に基づいて,確率モデルを完成させ,海面水温の与えられた分布ごとに台風の経路と中心気圧のシミュレーションを行う。この結果から,海面水温上昇にともなう台風の発生数の変化や日本を襲う巨大台風の頻度の変化を予測する。さらに,平成9年度には,すでに調査の済んである気圧場と風速分布の関係などを用いて,日本各地の年最大風速の再現期待値の地理的分布を予測する。
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