1995 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアのDNA多型分析による識別同定とその湖沼水質管理への応用
Project/Area Number |
07680551
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高村 義親 茨城大学, 農学部, 教授 (20007678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 宏史 茨城大学, 農学部, 助手 (10260465)
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Keywords | 水の華(アオコ) / Microcystis / シアノバクテリア / DNA多型解析 / RAPD法 / アロザイム・ゲノタイプ / 識別同定法 / 富栄養湖 |
Research Abstract |
富栄養湖に発生する水の華(アオコ)の原因生物であるMicrocystis属シアノバクテリアの分類は主に形態的特徴に基づいて行われているため、識別同定はしばしば混乱を招いている。 研究代表者らは、形態とアロザイム・ゲノタイプに基づいて分類されたMicrocystis属シアノバクテリアについてRAPD法(Randomly Amplified Polymorphic DNA)による識別同定法について検討した。 Microcystis属シアノバクテリアの供試株は渡辺(国立科学博物館)が形態、アロザイム・ゲノタイプおよび毒素生産性を基準に分類した5種18株の無菌クローン株を使用した。PCR反応は9-20merの8種類の合成プライマー(協和発酵提供)を用いて、35℃/50sec,72℃/2min,93℃/1min,35cyclesの条件で行った。増幅されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動によりDNA多型解析を行った。 アロザイム・ゲノタイプが同一の株で構成されているM.novacekii,M.viridis及びM.wesenbergiiのDNA多型分析を行った結果、それぞれの種に共通性のあるRAPDパターンが得られた。すなわち、これら3種に分類されているMicrocystis属の株は遺伝子的にhomogenousであると確認された。一方、アロザイム・ゲノタイプの異なる株で構成されるM.aeruginosaおよびM.ichthyoblabeでは共通性のあるRAPDパターンが得られなかった。したがって、これら2種に分類されている株は遺伝子的に均質でなく、その分類については、今後さらに検討を要するとが明らかになった。以上の結果から、RAPD法によるDNA多型解析は、Microcystis属の識別同定法として比較的簡便かつ確実な方法であることが示された。本研究は1995年8月日本農芸化学会大会、同年11月の日本微生物生態学会で口頭発表をおこなった。
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