大脳基底核を介する自律神経回路の解析:辺縁下野と側坐核の線維連絡と免疫組織化学

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07680814
• Research Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
• Research Institution: Chiba University
• Principal Investigator: 千葉 胤道 千葉大学, 医学部, 教授 (20009525)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中野 勝磨 三重大学, 医学部, 教授 (30024623) ; 田中 宏一 千葉大学, 医学部, 助手 (20125941)
• Keywords: 自律神経系 / 辺縁系 / 辺縁下野 / 側坐核 / ラット / サル / デキストランビオチン / WGA-HRP

Research Abstract

1)ラットの側坐核の芯(core)と殻(shell)は、免疫組織化学的にまたその線維連絡からも異なる性質の領域であることが知られている。芯と殻それぞれの領域に、線維連絡のマーカーとしてでデキストランビオチンを、イオントフォレ-シスにより注入し、線維連絡を調べた。
A)芯への注入により、腹側淡蒼球の背外側部、淡蒼球、内核内側部、黒質緻密部、黒質外側部、赤核後野、および脚橋被蓋核に投射が見られた。
B)殻背内側部および殻腹内側部への注入により、腹側淡蒼球の背内側部と腹外側部、内側視索前野、視床下部外側核、扁桃体、脚内核内側部、脚間核、黒質緻密部、腹側被蓋野、赤核後野、脚橋被蓋核、脚傍核、中脳水道周囲灰白質、青斑核に投射が見られた。
C)殻腹側部および腹外側部への注入により、腹側淡蒼球の腹外側部、脚内核の内側部、黒質緻密部、赤核後野、および脚橋被蓋核に投射が見られた。
2)ラット側坐核の芯と殻は、その投射部位から見て明らかに性質が異なり、芯は運動系により密接な関係があり、殻は自律神経、辺縁系により深い関係が見られる。殻の亜区画で見ると、背内側部と腹内側部はとくに自律神経関連核との連絡が密であり、腹側部と腹外側部は運動系に関係すると思われた。
3)サルの辺縁下野と側坐核に、HRPないしデキストランビオチンを圧注入ないしイオントフォレ-シスにより注入し、線維連絡を調べた。予備的なデータの解析では、細胞の標識された部位は、対角帯核,腹側前障,尾状核前内側部,外側視索前野,視床下部外側核,扁桃体前基底核,扁桃体基底核,扁桃体皮質核,中隔内側核,海馬,海馬支脚,視床下部背側野,視床下部後核,視床背内側核,視床腹側前核,視床結合核,黒質,腹側被蓋野,脚橋核,内,外側脚傍核,青斑核などであった。
この結果は細かいところで種差の存在をうかがわせるが、本質的には、ラットとサルで線維連絡部位に大きな差異が無いことを示唆した。

Research Products

• [Publications] Usuda I.,Tanaka K.,Chiba T.: "The efferent projections of the core and shell of the nucleus accumbens in the rat." Fourth IBRO world congress(Kyoto)Abstrats. 368. (1995)
• [Publications] Azuma M.,Chiba T.: "Afferent projections of infralimbic(Area 25)cortetex of the rat: A WGA-HRP study." Acta Anatom Nippon. 71(in press.). (1996)