1995 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答細胞のイノシトールリン脂質代謝に対するスフィンゴ脂質の調節効果
Project/Area Number |
07772195
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
橋詰 勉 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (90189473)
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Keywords | スフィンゴシン / スフィンゴ脂質 / ホスファチジルイノシトール4-キナーゼ / イノシトールリン脂質代謝 / 血小板 / 刺激情報伝達 |
Research Abstract |
1.ウサギ血小板のイノシトールリン脂質代謝に対するスフィンゴ脂質の影響を測定し,以下の結果を得た。 (1)[^3H]イノシトール標識血小板にスフィンゴシン(Sph)を添加すると,時間依存的(〜5分)および濃度依存的(〜30μM)にホスファチジルイノシトール(PI)量の減少,およびPI一リン酸(PIP)量の増加とPI二リン酸量の漸増が見られた。一方,[^3H]アラキドン酸標識血小板でのジアシルグリセロールおよび遊離アラキドン酸量に変化はなかった。Sph添加により増加したPIPの殆どはPI4-一リン酸であり,PI3-キナーゼ阻害剤である300nMワルトマンニンで前処理してもSphの効果は影響を受けなかった。 (2)他方,Sphの誘導体であるスフィンゴシルホスホリルコリン,サイコシンや,セラミドの膜透過性アナログを添加してもPIP量が増加したが,その程度はSphの場合より極めて弱かった。また,Sph以外のCキナーゼ阻害剤であるH-7またはスタウロスポリンを添加しても,Sphのような変化は生じなかった。 (3)Sphは血小板破砕液中のATP存在下でのPI4-キナーゼ活性を上昇させたが,PI4-Pホスファターゼ活性を,基質として[^3H]PI4-Pおよび酵素源として血小板破砕液を用いPIへの変換量として測定したところ,この変化にSphは影響を与えなかった。 2.血小板のチロシンキナーゼ活性に対する影響をイムノブロット法により測定すると,Sphにより刺激下および非刺激下での64kDaおよび95kDaタンパクのチロシンリン酸化が亢進した。 Sphは,PI4-キナーゼの活性化作用を有しており,イノシトールリン脂質代謝の調節に寄与している可能性が示唆された。さらに,チロシンリン酸化も亢進することが明らかとなった。なお,この成果は現在投稿中である。
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