1995 Fiscal Year Annual Research Report
CP対称性の破れと物質起源の実験的検証法の理論研究
Project/Area Number |
07804016
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
栗本 猛 富山大学, 理学部, 助教授 (10195563)
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Keywords | CP対称性 / B中間子 / 右巻きカレント / 小林・益川行列 |
Research Abstract |
現在の素粒子標準模型を越える新しい物理が存在する場合、それがB中間子工場におけるCP対称性の破れの測定においてどのような影響を与えるかを調べる系統的な研究を行った。 標準模型の未知パラメータである小林・益川行列要素の決定にはB中間子工場での実験でB中間子のsemi-leptonic崩壊、粒子-反粒子混合、CP対称性の破れのそれぞれを詳しく測定することにより、いわゆるユニタリティ三角形の辺の長さと3つの角度を決定することが必要であるが、それらへ新しい物理がどう影響しうるかを調べた。その結果、B中間子混合にのみ新しい物理の影響が及ぶ場合は3つの角度のうち2つに影響を及ぼすが、互いに逆符号で影響が現れるために3つの角度の和は180度に保たれることを示した。さらに他の影響も考慮した結果、3つの角度の和が180度よりずれるためには新しい物理(a)bクォーク崩壊へ直接寄与する、(b)D中間子系での粒子-反粒子混合に寄与する、のいずれかの条件が満たされねばならないことを示すことができた。この結果は近い将来のB中間子工場での実験による新しい物理の探索において、角度の測定だけでは不十分で辺の長さも同時に考慮する必要があることを意味しており、重要な意義をもつ。 また同時に3つの角度の和が180度にならない具体例として、右巻きカレントに結合するWボゾンが存在する模型をとりあげ詳しい解析を行った。その結果新しいWボゾンが1-2TeVと重くてもユニタリティ三角形の決定に大きな影響を与えうることという興味深い結論を得た。 後者についての論文は近々学術雑誌に発表予定であり、前者の論文も現在準備中である。
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Research Products
(1 results)