1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07806026
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
青海 忠久 京都大学, 農学部, 助手 (10144338)
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Keywords | ヒラメ / 胚細胞 / 形質発現 / 分化 / 色素細胞 / 生物時計 |
Research Abstract |
タイムラプスビデオによる画像データの解析によって、数種類の細胞の培養開始後数日〜1ヶ月程度の形態変化と形質発現過程が明らかになり、ヒラメ胚の発生段階別に細胞の形質発現カレンダーを作成することが出来た。神経胚以後の細胞からは、色素細胞、心筋細胞、神経細胞など多様な細胞が分化してきた。また、胚の発生が進むほど、それぞれの細胞が発現する時期が早くなった。これらを、植え接いだり、またはそのまま培地だけを交換して培養を継続すると、特徴を持った細胞は姿を消し、最終的には上皮様細胞か線維芽細胞が優先してしまった。神経胚以前の細胞からは、発現してくる細胞の多様性は減少し、またそれぞれの数も少なかった。特に色素細胞に着目して、形態と発現時期を観察すると、大型の黒色素胞と白色素胞は播種直後より発現し始め、2日目以内に最大数に達した。一方、小型の色素細胞は播種後20〜30日目に発現し、その量も最初に発現した大型のものとは比較にならないほど高密度であった。これら2型の色素細胞は、in vivoでの変態に関係した色素細胞の発現過程と時間的にも一致しており、色素細胞またはその芽細胞に生物時計が内蔵されていることが示唆された。胚細胞播種直後の映像より、解離された細胞は一カ所に定着せず、相互に認識して、接着する相手を選別しながら細胞塊を形成していくことが解った。さらに、胚体形成期以後の胚細胞を解離して培養すると、管状や袋状の器官様の構造が出来ることがあった。これらのことから、個体発生における形態形成には、細胞の認識を含む相互作用が大きな働きをしていると推察された。 培養系に移した胚細胞の植え接ぎを繰り返すと脱分化して、上皮様細胞か線維芽細胞が大半を占めた。また、ヒラメ以外の海産魚胚細胞として、アカアマダイの受精卵を用いたが、播種後細胞が接着せず培養することが出来なかった。
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