1996 Fiscal Year Annual Research Report
長波長紫外線照射リボフラビンの障害作用と弾力線維変性
Project/Area Number |
07807081
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 健二 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (00116039)
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Keywords | リボフラビン / UVA / 過酸化水素 / 電子スピン共鳴 / エラスチン / 活性酸素 / 光老化 / ヒドロキシラジカル |
Research Abstract |
1、UVA照射リボフラビン溶液中の過酸化水素量を西洋ワサビペルオキシダーゼを用いて測定した。リボフラビンからは過酸化水素産生はあまり見られないというのが一般的な説であるが、本研究で用いた条件では、リボフラビン1分子から約半分子の過酸化水素が産生されることが分かった。 2、生体の酸素濃度は大気中の約1/4である。生体に近い条件でリボフラビンにUVA照射された場合の意義を評価するため、低酸素下でリボフラビンにUVAを照射し、細胞障害性を調べた。低酸素下では照射初期により強い細胞障害性が発生したが、長時間照射では細胞障害性に差はなかった。この理由は低酸素下では早期に過酸化水素が発生することによると分かった。 3、リボフラビンに水銀ランプを照射し、発生するラジカルをスピン捕捉剤DMPOを用いて検出した。ヒドロキシラジカル付加物とリボフラビンラジカルの産生が明瞭に捕らえられた。その他にスーパーオキシド付加物も認められたが、明瞭なスピン像としては捕らえることはできなかった。 4、10^<-2>から10^<-7>モルの過酸化水素を8分あるいは16分細胞に曝露し、細胞障害性を調べた。8分処理では10^<-5>を越える、16分処理では10^<-6>を超える濃度の場合に細胞障害性が出現した。ここで得られた結果は、光線照射によりボフラビンから発生する過酸化水素の細胞障害性の強度と一致していた。 5、弾力繊維は過酸化水素処理にて大きな変化を受けず、処理の有無にかかわらずエラスターゼによる分解に差を認めなかった。 6、エラスチンをエラスターゼで分解した可溶性エラスチンに過酸化水素処理を行うと、より高濃度あるいはより長時間処理を行うと、可溶性エラスチンにより速く構造変化をもたらした。その構造変化は可溶性エラスチンを無処理で長期間放置した変化と同じものであった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sato K, et al.: "The primary cytotoxicity in ultraviolet-A irradiated riboflavin solution is derived from hydrogen peroxide" Journal of Investigative Dermatology. 105. 608-612 (1995)
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[Publications] Sato K, et al.: "Ribphototherapy, a new photodynamic therapy---an appliction to a blue nevus---" Photomedicine and Photobiology. 18. 11-12 (1996)
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[Publications] Minami H: "低酸素下におけるUVA照射リボフラビン溶液の細胞障害性" 大阪大学医学雑誌. (印刷中).