1996 Fiscal Year Annual Research Report
生涯学習体系に市民のための科学技術教育をどう組み込むか〜STS教育の視点から〜
Project/Area Number |
07808017
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小川 正賢 茨城大学, 教育学部, 助教授 (80143139)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 友作 茨城大学, 教育学部, 講師 (50282273)
大辻 永 茨城大学, 教育学部, 講師 (20272099)
|
Keywords | 生涯学習 / STS教育 / 科学技術社会 / リテラシー / 科学技術教育 |
Research Abstract |
社会全体がテクノロジー化していく現代日本で、人々は、環境、エネルギー、医療、食料、交通、通信、情報といったさまざまな科学技術が関連する問題(STS問題)に否応無しに直面している。このような社会を主体的に生き抜いていける科学技術的素養(STSリテラシー)を「すべての人」に保障するには、いったいどのような社会的制度・教育体系が求められるのだろうか?これが本研究の基本的な問題意識である。「すべての人」ということは、現時点でいえば、「すべての世代の人」のことであり、一個人について言えば、「ゆりかごから墓場まで」ということを意味する。そのようなニーズにあったSTSリテラシーを培う科学技術教育の有り様と、それを可能にする教育システムについて、本研究ではさまざまな考察と試行を試みた。学校教育における科学技術教育は近年この方向にシフトしていることが認められるが、現時点で「すべての世代の人」という観点からは、学校教育だけでは不十分だということは明らかである。そこで、現在の生涯学習体系においては、科学技術関する学習に対していかなるスタンスを採用しているかを検討した。その結果として「科学技術の進歩とそれに伴う社会的変容に対して人々は常に受け身的対応を取ること」が無意識のうちに前提とされていることが明確になった。しかし、本来、人々の側が主体的に社会の変容をコントロールするべきで、そのような方針で生涯学習を考えることの必要性をSTS教育運動との関連で考察した。またその過程で、このような教育運動を企画・運営していく人材が決定的に不足していることも明らかになった。地域社会に現存する人的資源をSTS教育家に変えていくための人材育成プログラムの早急な開発が必要になってくる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 小川正賢: "生涯学習体系とSTS教育" 日本科学教育学会研究会研究報告. 10(1). 41-46 (1995)
-
[Publications] 小川正賢: "STS教材モジュール作成実習受講者のSTS教育意識に関する追跡調査" 茨城大学教育学部紀要(教育科学). 45. 51-64 (1996)
-
[Publications] 小川正賢: "若手科学者の理科教育観" 茨城大学教育実践研究. 15(印刷中). 未定 (1996)
-
[Publications] 大辻永: "STS教育とは何か〜現代社会を捉える視点としてのSTS〜" 化学と教育. 44(3). 176-177 (1996)
-
[Publications] 大辻永: "科学教育における構成主義の主張をめぐって〜研究ノート〜" 茨城大学教育学部紀要(教育学部). 45. 65-73 (1996)
-
[Publications] 関友作・赤堀侃司: "テキストにおける段落表示が内容理解に与える影響" 日本教育工学雑誌. 20. 97-108 (1996)