1995 Fiscal Year Annual Research Report
新しい学力観に対する新しい評価方法開発の教科教育学的考察-認知活動解析の脳科学的アプローチから-
Project/Area Number |
07808026
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
松本 勝信 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (90033571)
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Keywords | 新しい学力観 / 新しい評価 / 認知活動 / 脳波・脈波 / 情意 / 教科教育学 / 授業に対する心的構え / 脳科学 |
Research Abstract |
(研究1)脳波マッピングソフトを用いての分析 先行研究で得られている認知に伴う脳波や脈波を変量とした因子は、脳の前頭葉と後頭葉の機能の優位性よりも、脳波の周波数帯域特性に対応するといえるものであった。 それに対して、今回の科研費で購入した脳波マッピングソフトを用いての同一データの分析から得られた結果を要約すると、以下のようなことが指摘できた。 (1)脳波のパワースペクトルから得られた頭皮上面図(マップ)から、脳波の各周波数帯域別に前頭葉活性型のマップ、後頭葉活性型のマップを抽出でき、その出現頻度の検定から、β1帯域のマップが指標として有効と考えられた。 (2)問題解決が容易に成立した被験者群においては、感覚情報と記憶情報を統合する認知場面や、記憶情報の再生に重きをおく認知場面では、後頭葉活性型のマップの頻度が高まり、高度な判断・推理の認知場面では前頭葉活性型のマップの頻度が高まる傾向がみられた。それに対して、問題解決が容易に成立しなかった被験者群においては、それらと逆の傾向がみられたり、バラツキが多くみられた。 1年次目として、問題解決の成立・不成立に関わる認知対象や記憶からの情報収集、判断・推理や意味構成等を、脳波マップ処理によりとらえる手がかりが得られたと言えよう。これらの成果については、日本教科教育学会紀要に投稿準備中である。 (研究2)授業に対する心的な構えの評価問題の開発 研究1の成果を授業に生かすための基礎研究として、小・中学校の理科や社会科などに対する児童生徒(約500人)の心的な構えの実態調査を行い、20項目5枝選択の調査問題を作成し、その心的な構えと観点別評価点やテスト点との相関分析から、その調査問題の有効性を指摘することができた。これらの成果については、既に日本理科教育学会、日本教科教育学会で口頭発表済みであり、それぞれの学会紀要に投稿準備中である。 これら研究1・2の結果をもとに、認知活動の解析の新たな仮説を検討中である。
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Research Products
(1 results)