1996 Fiscal Year Annual Research Report
食品の力学的特性に基づくテクスチャーの定量的測定に関する研究
Project/Area Number |
07838015
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森 友彦 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (10027188)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 由佳子 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (60212156)
|
Keywords | 力学特性 / テクスチャー / 物性測定 / ゲル構造 |
Research Abstract |
テクスチャーに特徴のある各種のゲル状食品、食品タンパク質ゲル、デンプンゲルについて力学的特性を測定し、ついで、測定データについて多変量解析法の一つである因子分析を行うことにより、「かたさ」、「もろさ」、「弾力性」の3つのテクスチャー要素を基準としてテクスチャーの違いを表示することが可能であることを見い出した。力学的特性の測定に供した試料のうち、食品タンパク質ゲルの一つであるダイズタンパク質ゲルについて、テクスチャーおよび力学的特性が異なるようにいくつかのダイズタンパク質ゲルを作製し、走査型電子顕微鏡によるミクロな組織構造の観察を行った。ミクロ組織構造の内容をネットワークのタイプ(凝集状、線状)および規則性、ネットワーク構成単位の平均直径、ネットワーク内空隙のサイズの点から定性的に表現することにより、各ゲル試料についてミクロ組織構造と力学的特性との間に相互関連性があることを見い出した。特に、変形のしやすさに関連する力学特性がネットワークの規則性および空隙サイズと相関性が高く、復元力に関連する力学的特性とネットワークのタイプとの間および破断強度に関連する力学的特性とネットワークの空隙サイズとの間に比較的相互関連性があることがわかった。これらのことから、テクスチャーの違いを表現するための基準として見い出した「かたさ」、「もろさ」、「弾力性」は食品の組織構造要素と密接に関連しており、妥当性があるものと考えられる。また、食品構成成分に由来する化学的性質が組織構造要素に影響を及ぼすことが充分予想され、この点について知見を得ることにより、テクスチャーの違いを表わす基準の内容をより明確に説明できるものと考えられる。
|