1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041038
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
松山 利夫 国立民族学博物館, 第3研究部, 教授 (80111087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 悦子 国立民族学博物館, 第4研究部, 教授 (60110079)
青柳 真智子 京都文教大学, 人間学研究所, 教授 (00089278)
玉置 泰明 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (90192640)
百瀬 響 北海道教育大学, 教育学部・岩見沢校, 専任講師 (10271727)
青柳 清孝 京都文教大学, 人間学部, 教授 (90052224)
松沢 員子 神戸女学院大学, 人間学部, 教授 (80099952)
岸上 伸啓 国立民族学博物館, 第1研究部, 助教授 (60214772)
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Keywords | 都市の先住民 / 都市の少数民族 / ライフ・ヒストリー / 都市先住民の類型 / 環太平洋地域 |
Research Abstract |
平成8年度においては、都市に定住する先住民の人口、出身グループとその居住形態(集住か否か)、および彼らのライフ・ヒストリーの収集に基づく生活体験と従来の先住民政策との対応を主要な課題として調査・研究を実施した。またこれらの都市の先住民の実態を先鋭化するために、ロシアおよびフィリピンで都市に生活する少数民族についても、同様のテーマで現地調査を実施した。その結果、都市に居住する先住民の生活と歴史は、それぞれの先住民政策とそれへの人々の対応(生活体験)の結果であり、その比較に基づいていくつかの類型が設定可能であるという知見を得た。これは都市の先住民研究における新たな枠組みを提供するものである。 1.類型1は北アメリカ型とでもよぶべきもので、旧宗主国による植民の後、先住民として国家に包接され、今日にいたって先住民権原をめぐる闘争を展開する集団であり、同化政策の中で都市先住民となってきた先住民である。この類型にはカナダのイヌイットやオーストラリアのアボリジニ、ネイティブ・アメリカン、ニュージーランドのマオリなどが含まれる。 2.これに対して相対的に早い時期に都市居住者となったのがメキシコのインディアンであり、彼らは土地を喪失することによってメスティーソ化していった。これは第2の類型といえる。 3.第3の類型は、フィリピンのアエタに典型的に認められるように、先住民ないし少数民族の居住地に都市が進出し、結果として彼らは都市居住者に包接されたものである。 4.これに対して台湾に認められる状況はやや異質であり、都市に定住するものの従前の居住地との近接性から頻繁に都市とコミュニティを往復する先住民の存在である。これは第4類型として設定できる。 なお、以上の知見については平成9年度においてさらに深化し、詳細な報告を作成する予定である。
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[Publications] 松山利夫: "都市における先住民社会の研究" 民博通信. 75号. 97-103 (1997)
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[Publications] 岸上伸啓: "カナダ・イヌイットの社会・経済変化" 国立民族学博物館研究報告. 21巻4号(印刷中). (1997)
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[Publications] 岸上伸啓: "カナダの都市先住民について:モントリオール市のイヌイットを中心に" カナダ研究年報. 17号(予定).
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[Publications] 黒田悦子: "都市先住民-メキシコ、オアハカ州の歴史-" 国立民族学博物館研究報告. 22巻3号(予定).