1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041111
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
宮城 豊彦 東北学院大学, 文学部, 教授 (00137580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
COLIN Woodro Woolongong Univ. Dept. of Geogr., 助教授
PAIBOON Pram Walailak Univ. Sch. of Resource, 助教授
室伏 多門 東京都立大学, 理学研究科, 博士後期
MOHD Lokman Univ. Terengganu. Ap. Science, 副学部長
津田 智 岐阜大学, 流域環境研究センター, 助教授 (50212056)
安食 和宏 三重大学, 人文学部, 助教授 (00231910)
塚脇 真二 金沢大学, 工学部, 助教授 (00222133)
藤本 潔 森林総合研究所, 立地評価研, 主任研
持田 幸良 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (60133047)
海津 正倫 名古屋大学, 文学部, 教授 (50127883)
河名 俊男 琉球大学, 教育学部, 教授 (60044955)
菊池 多賀夫 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (00004383)
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Keywords | マングローブ生態系 / 海水準変動 / 地球温暖化 / IGBP / MAB / 東南アジア / 環境動態 / 生物地形学 |
Research Abstract |
本研究は、近未来に予測される急激な海面上昇に対して、潮間帯の微妙な水位に依存するマングローブ林とその立地基盤が、如何なる応答を行うかについて、過去の立地変動と現在の環境変化傾向の分析を通して解明することを目標とする。本年は、調査初年度に当たるため、調査結果は中間報告とならざるを得ない。 1、調査地域:タイ南西部サトウン、クロントム、タツタオ、マレーシア東部クアラクママン及びサラワク州バコ、セマタンの各地域。 2、項目毎の調査概要: (1)ハビタットの立地変動:森林の発達と維持は海水準変動との関係で規定される。現在の森林は過去2千年以降の形成で、起源は新しい。人為改変を無視すれば、まさに現在の森は完新世で最大規模にある。局所的には、完新世中期以前の海進時のマングローブ堆積物が見いだされ、森林立地は歴史的に大きく変動した。 (2)群落構造解析:人為的に強いインパクトを被った調査地の群落であっても、林分の種構成と土地条件とは、自然の場合のそれとほぼ類似の関係が見いだされた。マングローブ林の2次林化や再生可能性を考える上で極めて示唆的である。 (3)更新機構解析:萌芽再生、種子散布や発芽機構の現地調査を、タイ南部で実施し、特に、森林伐採跡地での伐採年次毎の定量的なデータ収集が可能となった。 (4)海水準変動分析:完新世の高海水準を示すデータはない。現在の所、本地域の海面は、完新世中期までに現海面に達し、その後はほぼ安定した状態にある。 (5)海岸低地の地形発達分析:複数の海岸平野の地形分析によって、デルタ型の地形発達過程と、沿岸低地型の地形発達のタイプが存在する事が明らかになった。 (6)浅海域の堆積傾向分析:堆積環境は、陸源物質、マングローブ有機物、浅海底起源物質の混合物構造で、数種類の堆積環境に類型化できることようである。 (7)マングローブ生態系の環境利用分析:炭焼きによる共存型の森林利用が図られていたが、現実には強い伐採圧力で森林の蓄積量は減少しつつある。今年度は重点的な聞き取り調査が必要となった。 3、今後の研究展開:初年度の調査は、順調に経過したが、きめ細かなデータが十分に完備されたとは言えない。調査最終年度にあたる次年度は、地図化の基礎が確立されたタイ南西部、マングローブハビタットにおける群落構造の形成過程の実証が可能と思われる調査地が発見されたサラワクの両地域を重点的に調査する。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 宮城 豊彦: "Mangrove Habitat Dynamics and Sea-level Change" Researches Related to the UNESCO's Man and Biosphere Programe in Japan. 1995〜1996. (1997)
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[Publications] 宮城豊彦: "マングローブ生態系の立地変動と地球環境変動" 地球惑星科学合同シンポジウム 名古屋大学 地球規模変動に対する熱帯海岸環境の応答と対応戦略. (1997)
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[Publications] 海津正倫: "完新世における環境変化と熱帯いデルタの地形変化" 地球惑星科学合同シンポジウム 名古屋大学 地球規模変動に対する熱帯海岸環境の応答と対応戦略. (1997)
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[Publications] 持田幸良他: "Phytosociological studies of mangrove vegetation in Thailand and Malaysia." Ecological Review. 24-1. 1-10 (1997)
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[Publications] 持田幸良他: "タイ・マレーシアにおけるマングローブ植生の組成と配列" 日本生態学会全国大会 日本生態学会大会講演要旨集. (1997)
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[Publications] 藤本 潔: "マングローブ海岸における環境変化" IGCP特別シンポジウム「最新地質時代の地球環境」. 9-10 (1997)
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[Publications] 藤本 潔他: "Mangrove habitat formation and response to Holocene sea-level changes on Kosrac Island, Micronesia." Mangroves and Salt Marshes. 1. 1. 47-57 (1996)
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[Publications] 塚脇真二: "Depositional Environments in and around the Mangrove Forests in the Malay Peninsula - Satun, Kurabi and Khrong" Mangroves and Salt Marshes.
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[Publications] 河名俊男: "タイ・マレーシアにおける完新世海面変動研究の現状" 日本地理学会「海岸・沿岸域の環境動態」研究グループ. (1997)
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[Publications] 河名俊男他: "タイ南部における完新世海面変動" 沖縄地理学会. (1997)
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[Publications] 安食和宏: "Human Impact on the Decrease of Mangrove Forest in Southeast Asia," 28th Inter. Geogr. Cong. Abst. Book,. (1996)
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[Publications] 宮城豊彦: "大明堂" マングローブハビタットの生物地形学 藤原健蔵編『地形学のフロンティア』 298-320, 377 (1996)
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[Publications] 海津正倫: "リバティー書房" アジアのデルタと環境変化 重松伸司編『変容するアジアと日本』 9-40, (1997)