1997 Fiscal Year Annual Research Report
タイおよびインドネシアにおけるツパイ類の系統進化学的研究・
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08041132
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
山田 純三 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10003104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SRIHADI Agun インドネシア国立ボゴール農業大学, 獣医学部, 講師
RERKAMNUAYCH ウヲラウット タイ国立カセサート大学, 獣医学部, 副教授
遠藤 秀紀 国立科学博物館, 動物第一研究室, 文部技官 (30249908)
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
九郎丸 正道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00148636)
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Keywords | ツパイ / 系統進化 / ミトコンドリア / DNA / 頭蓋計測 / 免疫組織化学 / 種間解析 / 血清蛋白 |
Research Abstract |
平成9年8月,インドネシアで,同年10月から11月にかけてタイおよびラオスでツパイの情報収集と捕獲を行った。昨年度のインドネシアでの採材はジャワ島でしか成功しなかったが,今年度はジャワ島に加えてスマトラ島での採材に山火事にもかかわらず幸運にも成功した。さらにこれまで捕獲できなかったオオツパイ(Tupaia tana)を1頭ではあるが初めて入手できた。タイでも煙害に悩まされながらも採材は出来たが,ラオスでは政府の政策変更で野生動物の入手が研究といえども非常に厳しくなり,所期の目的を達成出来なかった。 しかし,ツパイ類の種間・属間の遺伝分子化を定量するため、ミトコンドリアDNAのCOII(cytochrome oxidase subunit II) 領域の約650塩基配列を決定し、その解析結果、次の知見が得られた。1)タイ東部Tratで採集したDendrogale murinaは明瞭にTupai属から区別でき、単系統と判断された。2)Tupaia glisと一括してきたインドシナ半島、マレー半島、スンダ列島に生息する動物には、2グループが識別できた。両者の分布境界はマレー半島基部のクラ地峡付近と考えられ、動物地理学でいう東洋区に含まれているインドシナ亜区とスンダ亜区の境界に一致する。また、この結果は、T.glisをT.belangeri(北方種)とT.glis(南方種)に二分する分類の考えを支持する。3)インドネシア島嶼部に生息するTupaia属の種間にも顕著な遺伝分化が認められる。血漿タンパク多型の解析もこれらを支持する成績が出つつある。 また、卵巣におけるステロイド合成酵素・アロマターゼ免疫組織化学的研究により、T.glisとD.murinaの種間に興味ある差異が認めら上記のミトコンドリアDNAの解析結果を形態学的にも支持した。これらは来年度公表の予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Endo, Hideki: "Cardiac-like musculature of the intrapulmorary vanous wall of the long-clawed shrew(Sorex unguiculatus), common tree shrew(Tupaia glis)and common marmoset(Callithrixjacchus)." Anatomical Record. 247・1. 46-52 (1997)
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[Publications] Maeda, Seishi: "M onoclonal antibody TSd-1 is specific to elongated and m atured sperm atids in testis of common tree shrew(Tupaia glis)." Journal of Veterinary Medical Science. 60・3(in print). 46-52 (1998)
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[Publications] Endo, Hideki: "Are the mastication muscles vestigial in the pangolin?" Mammalian Study. (in print). (1998)
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[Publications] Kimura, Junpei: "Immunohitochemical Iocalization of inhibin and steroidogenic enzymes in the ovary of common treeshrew (Tupaia glis) and northem smooth-tailed treeshrew (Dendrogale murina)" XIII Intemational Congress of Comparative Endocrinology. 1511-1515 (1997)