1996 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯域におけるシロアリおよびアリ類の採餌・栄養生態
Project/Area Number |
08041136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 忠夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90106609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北出 理 日本学術振興会, 特別研究員
伊藤 文紀 香川大, 教育学部, 講師 (50260683)
安倍 琢哉 京大, 生態研センター, 教授 (00045030)
東 正剛 北大, 地球環境研究科, 教授 (90133777)
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Keywords | ブルネイ / マレーシア / シロアリ / アリ / 食材性ゴキブリ / DNA分析 / カドフシアリ / コウグンシロアリ |
Research Abstract |
この年度に行った調査は下記のようなものである。 (1)ブルネイの国立公園とマレーシアのサバ州およびサラワク州の各地またマレー半島において、シロアリおよびアリ類の生態調査を行った。また、これらとの関連で食材性ゴキブリの調査も行った。 (2)持ち帰った資料標本の形態計測、元素分析、タンパク・糖・脂質等の分析、アミノ酸組成分析、DNA分析などを行った。 (3)上記の(1)(2)は当初の計画通りの進展状況にあるといる。 新たな知見としては次のようなものがある。 (1)シロアリの生態調査を行ってみると、その生息状況に対して食材性昆虫とくに食材性ゴキブリおよびクロツヤムシが競合者として大きく影響を与えていることが分かった。 (2)カドフシアリ類の巣内に共棲をしているササラダニ類の新たな3種類が発見された。カドフシアリとササラダニの関係は種特異的であることが分かった。 (3)シロアリを専門に餌としているアリ類が相当数の種類いることが分かった。 (4)地衣類を専門食としているコウグンシロアリにおいて、ワーカー間の分業がより明確になった。 このように、当初に計画した研究目的、研究計画・方法はおおむね達成された。ただし、研究分担者の安倍琢哉は健康上の理由で、また分担者に予定していた増子恵一が大学の教務上の理由で時期調整ができず現地に赴けなかったのは残念であった。一方、マレーシアの現地研究者であるマリアチ氏とは充分に研究連絡をとることができた。そして、来年度以降も全面的に協力関係を遂行していく見込みがたった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tokuda G.,Watanabe H.,Matsumoto T.and Noda H.: "Cellulose digestion in the wood eating higher termite,Nasutitermes takasagoensis : distribution of cellulases." Zoological Science. 14. 81-93 (1997)
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[Publications] Ohkawara K.,Higashi S.and Ohhara M.: "Effects of ants,ground beetles and the seed-fall patterns on myrmecochory of Erythonium japonicum." Oecologia. 106. 500-506 (1996)
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[Publications] 松本忠夫: "オーストラリアのサバンナの地中に家族で生活する巨大なゴキブリ" 昆虫と自然. 31. 6-9 (1996)
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[Publications] 松本忠夫: "食材性ゴキブリの親子関係" 昆虫と自然. 31. 26-29 (1996)
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[Publications] 松本忠夫: "シロアリの進化・ゴキブリとの関連" 木材保存. 22. 2-9 (1996)