1997 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯域におけるシロアリおよびアリ類の採餌・栄養生態
Project/Area Number |
08041136
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 忠夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90106609)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MARYACHI M. Univ. of Malaysia Sabah, 助教授
北出 理 日本学術振興会, 特別研究員
近 雅博 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (00211912)
安部 琢哉 京都大学, 生態研センター, 教授 (00045030)
東 正剛 北海道大学, 地球環境研究科, 教授 (90133777)
|
Keywords | シロアリ / アリ / 食材性ゴキブリ / クロツヤムシ / コウグンシロアリ / ヒメサスライアリ / 摂食習性 |
Research Abstract |
この年度に行った調査は下記のようなものである。 (1)インドネシアのジャヤプラとウジュンパンダン付近、そしてマレーシアのサバ州において、シロアリとアリ類の生態調査を行った。また、これらとの関連で食材性ゴキブリの生態調査も行った。 (2)持ち帰った資料標本の形態計測、元素分析、タンパク・糖・脂質等の分析、アミノ酸組成分析、DNA分析による系統解析などを行った。 (3)上記の(1)(2)は当初の計画通りの進展をすることができた。 昨年度に引き続いた新しい成果としては次のようなものがある。 (1)シロアリの生態調査を行った結果、その生息状況に対して食材性ゴキブリおよびクロツヤムシが競合者として大きく影響を与えていることがさらに詳細に分かった。 (2)シロアリを専門に餌としているアリ類が相当数の種類いることがわかった。しかし当初、シロアリ類を相当程度に捕食していると考えていたヒメサスライアリ類はシロアリ類をほとんど摂食していないことが分かった。 (3)地衣類を専門食としているコウグンシロアリにおいて、その特異な摂食習性はワーカー間の分業により成立していることがより明確になった。 (4)食材性ゴキブリ類の分子系統と、個々の種の社会構造との関係が、より明確なものとなった。 このように、当初に計画した研究目的、研究計画・方法はおおむね達成された。マレーシアの現地研究者であるマリアチ氏を日本に招へいした結果、充分に研究連絡をとることができた。さらに、アメリカ合衆国のナレパ氏を日本に招へいおよび現地調査に同行してもらい、しっかりとした研究連絡をとることができた。そして、来年度も全面的に協力関係を遂行していく見込みがたった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Miura, T & Matsumoto T.: "Foraging organization of the open-air processional lichen-feeding termite Hospitalitermes ( Isoptera, Termitidae) in Borneo" Insectes Sociaux. 44. 301-316 (1997)
-
[Publications] Kitade O., Maeyama T. & Matsumoto T.: "Establishment of symbiotic flagellate fauna of Hodotermosis Japonica (Isoptera : Termopsidae)" Sociobilogy. 30. 161-167 (1997)
-
[Publications] Miura T. & Matsumoto T.: "Diet and nest material of the processional termite Hospitalitermes and cohabitation of Terms (Isoptera : Termitidae)" Insectes Sociaux. 44. 267-276 (1997)
-
[Publications] Satoh T., Masuko K. & Matsumoto T.: "Colony genetic structure in the mono- and polygynous sibling species of the ants C. nawai and C. yamaokai : DNA fingerprint analysis" Ecological Research. 12. 71-76 (1997)
-
[Publications] Tokuda G., Watanabe H. Matsumoto T. & Noda H.: "Celluloce digestion in the wood-feeding higher termite, N. takasagoensis : Distribution of cellulases and properties of end-1-4-glucanase" Zoological Science. 14. 83-93 (1997)
-
[Publications] Miura T. & Matsumoto T.: "Ergatoid preproductives in Nasutitermes takasagoensis (Isoptera : Termitidae)" Sociobiology. 27. 223-238 (1997)