1997 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯インド・太平洋の海底洞窟生物群の自然史科学的研究
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08041162
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GUSTAV Paula グアム大学, 臨海実験所, 教授
千葉 聡 静岡大学, 理学部, 助手 (10236812)
田吹 亮一 琉球大学, 教育学部, 助教授 (60155231)
速水 格 神奈川大学, 理学部, 教授 (80037184)
武田 正倫 国立科学博物館, 動物研究部, 部長 (20000143)
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Keywords | 古生物学 / 海洋生物学 / 生物地理 / 生きている化石 / 軟体動物 / 海底洞窟 / 進化 / 甲殻類 |
Research Abstract |
1.中央太平洋のハワイ諸島、マーシャル諸島のマジュロ環礁、北マリアナ諸島のサイパン、ロタ島、およびパラオの海底洞窟の調査、試料の採取をおこなった。貝類および腕足類のDNA解析用の試料も、それぞれの地域の海底洞窟から採取することができ、現在分担者の千葉と遠藤によって分析を進めている。 2.上記の地域の調査の結果、南西諸島や南太平洋地域の海底洞窟内に見られたような特異な動物群が中央太平洋地域にも広く分布することが確認できた。また、ハワイ諸島では溶岩洞窟にも見いだされた。 3.南西諸島や西太平洋の海底洞窟には親貝の体内で保育される種があるが、深い海洋底を隔てたハワイ諸島にも共通する種が見いだされた。前年度の調査でも、同じ種が南太平洋に広く分布することがわかっている。この事実は、これまでの海洋生態学の理論に明かに反している。今後、分子レベルの比較することで、このような種が広く太平洋に分布を広げた要因をつきとめることができるであろう。 4.海底洞窟特有の腹足類と思われるシラタマアマガイ類が多様化していることが明かとなった。現在、研究代表者と研究協力者の狩野が解剖学的研究を進め、また千葉は系統上の位置とつきとめるため、分子レベルの研究を進めている。これまでの予察的な研究から、このグループは淡水域やanchialine caveに生息するアマガイ類に近いことがわかった。このグループの進化に重要な情報を提供することになるであろう。 5.これまで海底洞窟と深海から古生代の生きた化石海綿であるsphinctozoaが2種知られているが、今回の調査でパラオの海底洞窟から第3の種が発見された。現在フランスのDr.Vaceletに研究を依頼している。 6.海底洞窟に多くみられる腹足頬のソビエツブ科の24新種について分類学的に研究した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 速水 格: "二枚貝の体サイズ変化と大量絶滅の要因に関する一仮説" 化石. 62. 24-36 (1997)
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[Publications] Kase, T.&Valdes, A.: "The enigma of Bertinia Jousseaume,1883 solved" Venus(The Japanese Journal of Malacology). 56(3). 233-240 (1997)
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[Publications] Ng, P.K.L & Takeda, M.: "Aethra edentata Edmondson,1951(Crustacea:Decapoda:Brachyura:Parthenopidae),new record from Izu-Mariana Arch" Bull,Natn.Sci.Mus.,Tokyo,Ser.A 24(1). 24(1). 7-10 (1998)
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[Publications] Chiba, S.: "Synchronized evolution inlineages of land snails in oceanic islands" Paleobiology. 24. 99-108 (1998)
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[Publications] Okuno, J.: "Crustacea Decapoda:Review on the genus Cinetorhynchus Holthuis,1995 from the Indo-West Pacific(Caridea:Rhynchocinatidae)" In:Richerde Forges,B.(ed.),Les fonds meubles deslagons de Nouvelle-Caledonie(Sedimentologie,Benthos).Etudes & Theses,ORSTOM,Paris.3. 31-58 (1997)