1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041187
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
赤羽 啓栄 福岡大学, 医学部, 助教授 (30020754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAEーDIAZ Cam シナロア自治大学, 理学部, 教授
CRUZーREYES A メキシコ自治大学, 生物研究所, 主任研究員
LAMOTHEーARGU アール メキシコ自治大学, 生物研究所, 主任研究員
緒方 克己 宮崎医科大学, 講師 (10109647)
古賀 正崇 九州大学, 医学部, 講師 (80136449)
名和 行文 宮崎医科大学, 教授 (10040172)
小島 荘明 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00009622)
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Keywords | メキシコ / 皮膚爬行症 / 皮膚腫脹 / 顎口虫症 / 顎口虫 / ミグエルアレマンダム / 淡水魚 / ELISA |
Research Abstract |
メキシコにおける顎口虫症の病原体は現在なお明らかでない.本プロジェクトの最大の目的はメキシコにおける本症の病原体を正確に同定することにある.そこでまず,メキシコ南部流行地テマスカルにあるミグエルアレマンダムに棲息するペリカンの筋肉内から多くの顎口虫の幼虫を採集した.この幼虫を日本人研究者の派遣ならびにメキシコ人研究者の招聘の機会に日本に移し,ネコ,イヌ,ブタ,ラット,モルモットなどの哺乳類に感染させ,現在経過観察中である.もしこれらの動物に感染が成立し,成虫を得ることができると,長い間不可能であったメキシコにおける顎口虫症の病原体を,正しく同定することができる. さらに,メキシコの顎口虫症の症状把握では南部の流行地テマスカルと北部流行地ナヤリットにおいて,過去の症例を詳細に検討したところ,顎口虫症の2つの症状のうち日本の症例に比べて皮膚爬行症は少なく,皮膚腫脹が多かった.また病変部が日本の症例に比べて頚頭部,四肢に多く発症することもわかった.このことは日本で発症する顎口虫症とは病原体を異にする可能性が高く,興味深いところである. メキシコの顎口虫症の免疫診断については,患者血清を用いてELISAの診断効果を検討した結果,日本において最も入手しやすいドロレス顎口虫の成虫抗原でも診断が可能であった.またそれ以外の有棘顎口虫,剛棘顎口虫の成虫抗原でも充分診断効果のあることもわかった. 疫学調査は感染源となる魚種の確定していない北部流行地で大規模な淡水魚の寄生状況調査を実施したが,現地の自然が極めて大きく,現在までにこの地域の淡水魚から顎口虫の幼虫は見つかっていない.
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