1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044018
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
田中 琢 奈良国立文化財研究所, 所長 (40099958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 長生 陜西省文物保護中心, 所長
韓 偉 陜西省考古学研究所, 所長
周 天游 陜西歴史博物館, 館長
田中 淡 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (90000306)
沢田 正昭 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 部長 (20000490)
町田 章 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 部長 (90000471)
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Keywords | 古墳壁画 / 漆喰 / 歴史博物館 / 壁体構造 / 剥落 / 褪色 / 壁画顔料 / 粒度分布 |
Research Abstract |
1)陜西歴史博物館に所蔵されている、古墳壁画約100点について、これを古墳内部から運び出した時の技術的な問題の解析、さらに、壁体構造の調査、そして壁画顔料の褪色や剥落などの総合的な調査を実施した。特に、現状の保存状態については、日中両国間で意見交換しながら詳細に観察することができた。 2)古墳壁画の顔料資料を収集し、中国側の分析学者が、これらの顔料資料を持参し、日本で分析をおこなった。 3)顔料の分析の結果にもとずいて、色見本を作成した。これらの色見本を二分割し、他方は即分析に回した。また残りのものは、さらに半分をシールして光が当たらないようにして実験室内で暴露し、今後、褪色に関する経年変化を継続的に観察する。なお、今回の色見本は紙を使ったが、さらに、漆喰壁のモデルを作成し、顔料を塗る。これを同様に暴露しながら、その褪色の過程を分析していく予定である。 4)今後の課題:(1)漆喰の組成的な問題を検討したが、現状では顕著なちがいが認められず、今後、さらに試料数を増やしていく予定である。(2)顔料の分析に際しては、顔料自身の粒度分布を同時に求めるようにしている。同じ緑でも、顔料粒子の大きさによって色調が少しずつ異なるわけだから、今後、より多くの資料を収集して比較分析する。(3)古墳壁画を転写する技術については、改良の余地があり、特に、材料学的な観点からの調査を進める。
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Research Products
(1 results)