1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044048
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本堂 武夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60109494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIPENKOV V.Y ロシア北極南極科学研究所, 主任研究員
SALAMATIN A. ロシアカザン州立大学, 教授
OCAMPO J. フランスグルノーブル大学, 工学部, 助教授
ARNAUD L. フランス雪氷地球環境科学研究所, 研究員
DUVAL P. フランス雪氷地球環境科学研究所, 研究部長
亀田 貴雄 北見工業大学, 助手 (00233974)
庄子 仁 北見工業大学, 教授 (50201562)
前 晋爾 北海道大学, 工学部, 教授 (80022672)
堀 彰 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60280856)
河村 俊行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50091434)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001662)
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Keywords | 氷床コア / 地球環境 / クラスレート水和物 / ラマン散乱 / シンクロトロン放射光 / 水和反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究代表者らが開発してきた新たな解析手法で、ボストーク氷床コアの内部構造を精査することにあり、これによって、気候・環境変動の時系列データの詳細な解析が可能になると期待されている。以下、解析手法ごとに今年度の研究実績を要約する。 1.X線によるボストーク氷床コアの解析- ヨーロッパ大型放射光施設の利用によって、微細構造の研究が格段に進んだ。非常に平行性が高く、強度の強いX線の利用は、これまでにない強力な解析手法となることが明らかになった。 2.レーザラマン散乱法によるボストーク氷床コアの解析 気泡から空気水和物に変化するのに伴って、大気組成気体の分別が生ずることが、日仏双方の測定で明らかになった。この解析手法は、日本側が長年の研究で培ってきたものであり、これをフランス側でも測定できるようにした。 3.理論的研究 気泡からクラスレート水和物への遷移過程の理論的研究がロシア側との共同研究で飛躍的に進んだ。特に、定式化の難しかった塑性変形過程と結晶成長過程を結びつけることができたのは大きな成果である。 以上、概観したように、当初の目的に沿って研究を進めることができたが、1部計画の変更を余儀なくされた。1つは、ヨーロッパ大型放射光施設の利用が認可されたことによる変更であり、本共同研究の進展に大いに役立つ変更であった。この変更に伴って、日仏共同で実施する予定の計画の1部を別々に実施したが、グルノ-ブルで十分な討論を行った上で進めたので、支障なく進めることができた。また、次年度の計画の打合せのために、フランス側からDuval博士を招へいする予定であったが、同人多忙のためこれを断念して、全ての打合せをグルノ-ブルで実施し、足りない部分は電子メイルで補った。この結果、上記3つの課題について、次年度の予定として、(1)氷結晶の微細構造の生成過程を明らかにするために、ヨーロッパ大型放射光施設を利用する研究を次年度も実施すること、および(2)日仏露のラマン散乱データおよびクラスレート水和物の分布データを総合して、氷床における大気の挙動をモデル化するために、札幌で会合を持つこと、の2点で合意した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Nishida and H.Narita: "Three-dimensional observation on ice crystal grains in polar ice sheet and its application" J.Geophys.Res.,. D,101. 21311-21317 (1996)
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[Publications] H.Ito,K.Kawamura,T.Hondoh and S.Mae: "Molecular dynamics studies of proton ordering effects on lattice vibrations in ice Ih" Physica B. 219&220. 469-472 (1996)
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[Publications] H.Fukazawa,T.Ikeda,T.Hondoh,V.Ya.Lipenkov and S.Mae: "Aging effects on translational lattice vibrations in ice Ih" Physica B. 219&220. 466-468 (1996)
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[Publications] T.Uchida,A.Takagi,T.Hirano,H.Narita,J.Kawabata,T.Hondoh and S.Mae: "Measurements on guest-host molecular density ratio of CO_2 and CH_2 hydrates by Raman spectroscopy" Proc.2nd Int.Conf.Natural Gas Hydrates. 335-339 (1996)
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[Publications] H.Fukazawa,T.Ikeda,T.Hondoh,P.Duval,V.Ya.Lipenkov and S.Mae: "Molecular fractionation of air costituent gases during crystal growth of clathrate hydrate in polar ice sheets," Proc.2nd Int.Conf.Natural Gas Hydrates. 237-242 (1996)
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[Publications] C.Chaix,J.Ocampo and F.Domine: "Adsorption of CH4 on laboratory-made crushed ice and on natural snow at 77K." Atmospheric implications.,C.R.Acad.Sci.Paris.t.322,serie IIa. 609-616 (1996)