1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044048
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
本堂 武夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60109494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIPENKOV V.Y ロシア北極南極科学研究所, 主任研究員
亀田 貴雄 北見工業大学, 助手 (00233974)
前 晋爾 北海道大学, 工学研究科, 教授 (80022672)
堀 彰 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60280856)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001662)
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Keywords | 氷床コア / ボストーク / 気候変動 / クラスレート水和物 / 結晶成長 |
Research Abstract |
本年度の当初計画に基づいて、項目毎に概要を説明する。 (1) クラスレート水和物中の大気組成に関する日仏データの比較:日本とフランス双方で進めてきたラマン散乱測定データを比較検討した結果、気泡からクラスレート水和物への遷移に伴う気体の分別過程が明らかになった。これは、単なるデータのばらつきとみなされていた現象が、実は遷移過程の本質を反映した現象であることを明確に示した画期的な成果である。大気組成復元の信頼性を高める上で、極めて重要な発見と言えるものである。日仏露3カ国の共同作業として論文にまとめており、直に投稿の予定である。 (2) ヨーロッパ大型放射光による結晶組織の観察:ボストーク深層コアをX線回折法で観察し、大きな一つの結晶と思われていた氷結晶粒が、実はわずかに方位の異なる微小な結晶の集合体であることをすでに見出していたが、さらにその詳細が明らかになった。このような微細組織の生成過程については、まだ充分理解できていないが、観察事実についてとりまとめ中である。 (3) 氷床における大気の挙動:これまでのデータに基づいて、理論的な検討を日露共同で進めてきた。その結果、クラスレート水和物の核発生以降の成長過程については、理論モデルが完成し、J.CrystalGrowthに投稿済みである。気体の分別過程についても基本構想は出来上がっており、もうじき論文としてまとめられる見通しである。
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[Publications] S.Horikawa, H.Itoh, J.Tabata, K.Kawamura and T.Hondoh: "Dynamic Behavior of Diatomic Guest Molecules in Clathrate Hydrate Structure II" J.Phys.Chem.B. 101. 6290-6292 (1997)