1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044066
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 綏 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (70013430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
フィリップ ヨック オークランド大学, 理学部, 教授
ジョン ハーンショウ カンタベリー大学, 理学部, 教授
斎藤 敏治 都立航空高等専門学校, 助教授 (40259833)
イアン ボンド 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, COE研究員
中村 卓史 京都大学, 理学部, 教授 (80155837)
小林 誠 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 教授 (90025453)
佐藤 文隆 京都大学, 理学部, 教授 (90025370)
阿部 文雄 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (80184224)
松原 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (80202323)
関口 真木 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助手 (40216528)
河辺 征次 高エネルギー物理学研究所, データ処理センター, 助教授 (10044786)
渡瀬 芳行 高エネルギー物理学研究所, データ処理センター, 教授 (70018662)
寿岳 潤 東海大学, 文明研究所, 教授 (50012795)
佐藤 修二 名古屋大学, 理学部, 教授 (50025483)
吉沢 正則 国立天文台, 位置天文天体力学研究系, 助教授 (20126197)
宮本 昌典 国立天文台, 位置天文天体力学研究系, 教授 (30012850)
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Keywords | マッチョ / 大マゼラン雲 / CCDカメラ / ダ-クマタ- / 褐色矮星 / Macho / MOA |
Research Abstract |
我々の銀河系には光学的観測から期待される質量の約十倍の物質が付随しているというのが定説である。この光らない物質はダ-クマタ-と呼ばれ、その実態の解明が宇宙物理学上の最重要問題の一つとなっている。素粒子物理学者は、新しい素粒子で宇宙が満たされていることを期待している。しかしこの実体が星になり損ねた軽い質量の褐色矮星である可能性も大いにあり得る。光らない星:褐色矮星やコンパクト星を、重力レンズ効果を利用して見ることをパチンスキーが1984年に提案し、1993年秋に初めてマッチョグループが発見し、世界中にその衝撃が伝わった。しかしオーストラリア・米国のマッチョグループの観測結果は、まだほんの原理的可能性を示したにすぎず、ダ-クマタ-の空間分布関数を求めてこそ始めて、上記の設問に解答を与えることができる。そのためには更なる観測が必要である。 我々日本・NZの観測グループ(MOA)は特に低質量星に感度のある方法でマッチョグループが観測を実施していないことに注目し、NZ南島のテカポにあるカンタベリ-大学の60cm口径の望遠鏡に、日本で製作した3×3のモザイクCCDカメラを持ち込み、1996年6月より定常観測体制に入り、現在数例褐色矮星の候補を6月〜10月の観測で発見した。また国際Alert観測体制に協力し、銀河中心方向に対しては十数例の候補天体を観測している。1996年12月より、望遠鏡の広視野化のためレンズ系の変更を行い、f=6.25の広視野化を実現した。そのため一日数回約百万個のLMC内の星を観測することが1997年2月より可能となり、今年度冬期(日本の6月)のシフトでいよいよ木星程度の質量を有した短周期変動マッチョを重力レンズ効果で見つけようと意気込んでいる。 解析ルーチンもCOE研究員Ian Bondらの努力が順調に進んでいる。45分の観測データを処理するのに約3時間CPU時間を必要としている。ともかく莫大なデータを処理するといった面でも、日本の天文学会に貢献しつつある。 1996年度の成果をまとめると、(1)犬面積CCDカメラによる定常観測体制を作るのに成功した。(2)望遠鏡の広視野化を実現した。そのため理論的な期待値の(3)百万個の星を一日の観測で6〜7回冬期に見ることができるようになった。これは短周期変動マッチョの観測に必要な最低限の条件である。それを実現した。(4)データ解析も順調に進んでおり、ソフトの整備も順調に進んでいる。(5)国際Alert観測体制に協力し、十数例のマッチョ候補天体を銀河中心方向に見つけた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Alcock,C.,et al.: "Macho Alert 95-30" Astrophys.J.(印刷中). (1997)
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[Publications] Muraki,Y.: "Moa Project in New Zealand" Proc.of 2nd Int.Conf.on Gravitational Microlensing Surveys at Paris. 3. 359-367 (1996)
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[Publications] Yock,P.C.M.: "Variable Stars and the Astrophysical Returns of Microlensing Survey" Proc.of XIIth IAP Astrophysics Meeting,France. (印刷中). (1997)
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[Publications] Kanaya,Y.,et al.: "Microlensing and Halo Models of the Galaxy" Publ.Astron.Soc.Japan. 48. 479-487 (1996)
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[Publications] Uehara,H.,et al.: "Fragmentation of the Primordial Gas Clouds and the Lower Limit on the Mass of the First Stars" Astrophys.J.473. L95-L98 (1996)
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[Publications] Nakamura,T.,et al.: "The Minumum Total Mass of MACHOs and Halo Models of the Galaxy" Astrophys.J.473. L99-L102 (1996)