1996 Fiscal Year Annual Research Report
極低温高速イオンビーム(クリスタルビーム)の実現に関する共同研究
Project/Area Number |
08044076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 章 京都大学, 化学研究所, 教授 (20114605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CIULLO Giuse リニャーロ国立研究所, 博士研究員
LAMANNA Gius リニャーロ国立研究所, 博士研究員
PISENT Andre リニャーロ国立研究所, 研究員
LOMBARDI Aug リニャーロ国立研究所, 研究員
BISOFFI Giov リニャーロ国立研究所, 研究員
TECCHIO Luig リニャーロ国立研究所, 教授
白井 敏之 京都大学, 化学研究所, 助手 (50252507)
岩下 芳久 京都大学, 化学研究所, 助手 (00144387)
岡本 宏巳 京都大学, 化学研究所, 助手 (40211809)
井上 信 京都大学, 化学研究所, 教授 (90028176)
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Keywords | イオン / 蓄積リング / 極低温高速イオンビーム(クリスタルビーム) / ビーム冷却 / 三次元レーザー冷却 / ビームシュミレーション / 結合空胴 / 空間電荷効果 |
Research Abstract |
イオンを蓄積リングにため、ビーム冷却法により低温に冷却して、極低温高速イオンビームを実現する可能性について、本年度は次の2点に重点をおいて、調査・研究を進めてきた。即ち、(1)ビーム冷却法のうち、縦方向に関してもっとも低い平衡温度が実現できるレーザー冷却を横方向にも適用する可能性に関して、分担者岡本らのアイデアが提唱されているが、この可能性をより定量的に研究するため、リングの電磁石のリアルなラティス構造を取り入れたシュミレーションコードの開発、(2)イタリー・パドヴァのリニャ-ロ国立研究所で建設が計画されているCSR(CRYSTAL SRORAGE RING)計画の設計の推進の2点である。 このうち、前者に関しては、高エネルギー物理学研究所で開発されたシュミレーションコードSADに手を加え、これにレーザー冷却過程及び縦横両方向のビームの運動の結合を生じさせるための結合空胴の効果をいれるルーチンを追加する形で、開発を進めてきた。ビームの冷却が進むと粒子密度が極めて大きくなり、クーロン力による反発の効果(空間電荷効果)が無視できなくなるので、この効果を分子動力学を用いて取り入れる改良を現在鋭意進めている。 後者に関しては、先方で既に建設が開始されている入射器の超伝導重イオン線形加速器の設計に関して、京都大学・化学研究所のイオン線形加速器の建設の経験を生かした共同研究を進めるべく調査・研究を進めてきた。先方からもこのため滞在費を用意して強く要請されている。これに基づき平成9年度早々に分担者白井敏之を三ヶ月間派遣し、超伝導重イオン線形加速器の建設の具体的作業に従事させる予定である。 来年度はこれと併せて、ドイツハイデルベルグのTSRやデンマークオ-フスのASTRIDといった既に縦方向のレーザー冷却が行われているリングを用いて、三次元レーザー冷却の実験を行う可能性についても追求する予定である。
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[Publications] 岡本弘己、韋傑: "ビーム蓄積リングにおけるレーザー冷却とクリスタルビーム" 原子核研究. Vol.41,No2. 1-10 (1996)
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[Publications] Hiromi Okamoto,Shinji Machida and Andrew M.Sessler: "Three-Dimensional Laser Cooling by Synchrobetatron Coupling" Proceedings of the 31st Workshop of the INFN Eloisatron Project on “Crystalline Beams and Related Issues"World Scientific Publishing Co.173-183 (1996)
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[Publications] L.Tecchio: "THE CRYSTAL STORAGE RING" 京都大学における加速器科学総合推進計画についてのシンポジウム報告集. (印刷中). (1997)