1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044184
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落合 廣 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10002122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WILLIAM Loom カリフォルニア大学, 生物学部, 教授
舟本 聡 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員
斎藤 玉緒 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30281843)
SALVATORE Bo トリノ大学, 医学部, 教授
WOLFGANG Nel カッセル大学, 理学部, 教授
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Keywords | 細胞選別 / Polyspondylium / Dictyostelium / 細胞接着 / 遺伝子破壊 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
下記に、今年度に得られた主な実験結果について要約する。 1.Polyspondylium pallidumの細胞間接着タンパク質gp64の遺伝子破壊株の作製に成功した。得られた破壊株の接着能は,野生株に比較して10〜15%低いだけであった。この値は、アンチセンスRNA抑制株が約40%程低い接着能を示したのに対して高い接着能を示したもので、期待に反するものである。この事は粘菌の初期発生において、gp64の接着能を相補する第2、第3の接着タンパク質の存在を示すものと思われる。 2.Polyspondyliumの後期発生では、第一次柄にたいして第二次の分枝形成が起こる。今年度の大きな成果の一つは、この第二次分枝にたいしてgp64が分枝形成の抑制因子である可能性を示唆する結果を得たことである。つまり、gp64遺伝子を予定柄細胞遺伝子プロモーターの下流に繋ぎ強制発現させたところ、第二次分枝が起こらなかった。gp64タンパク質はbifunctiona1なタンパク質である可能性がある。 3.Polyspondyliumの第二の接着タンパク質を同定するために、gp64のアンチセンスRNA抑制株を出発材料として、この粗膜画分をウサギに免疫してボリクローナル抗体を作製した。この抗体は、強い細胞接着阻害活性をしめしたが、プロープとしての有効性に限界があった。この理由は、この抗体の主要な認識部位が糖鎖であり、糖鎖にたいする抗体の多数の結合が非特異的に接着の阻害をもたらすと考えられるからである。 4.Dictyosteliumの集合後期の細胞接着補助因子LagCの機能解析にかんしては、N末端またはC末端領域を欠損したLagCを細胞に発現させ、それにより細胞接着能力やシグナル伝達能の変化を指標に解析する予定である。この為の発現コンストラクトは大部分すでに完成している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tamao Saito: "Fatty acid composition of the celluular slime mold Polyspondylium pallidum" Lipids in press. (1998)
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[Publications] 船木 聡: "増感化学発光を用いたサザンブロッティング(非ラジオアイソトープサザン解析)" 細胞工学. (印刷中). (1998)
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[Publications] 斎藤 玉緒: "細胞性粘膜Polyspondylium pallidumの膜タンパク質gp64の構造と機能に関する最近の知見" 生化学. (印刷中). (1998)
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[Publications] Hiroshi Ochiai: "A Model System for Cell and Developmental Biology (eds.Y.Maeda,K.Inouye and I.Takeuchi)," University Academic Press,Tokyo,488 (1997)