1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044192
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 登志彦 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (80183094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STORCHOVA He チェコ科学アカデミー, 植物学研究所, 研究員
HERBEN Tomas チェコ科学アカデミー, 植物学研究所, 研究員
KRAHULEC Fra チェコ科学アカデミー, 植物学研究所, 所長
鈴木 準一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助手
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Keywords | 山地草原 / クローン / シュート / DNA-RAPD / 生長動態 / 遺伝的構造 / 競争 / 可塑性 |
Research Abstract |
チェコ共和国のKrkonose山における山地草原の種多様性の維持機構を解明するために、植物集団の生長動態などの生態学的特性と集団の遺伝的構造の解析を行った。調査地ではクローナル草本植物が優占しており、主要な種5種についての調査・解析を現在行っている。本年度は最も優占している種であるFestuca rubra(ウシノケグサ)の遺伝的構造と生態学的特性に関するデータ解析を行った。その他の種に関しては来年度に解析を行い、主要5種の植物の種間関係を解析し、山地草原の種多様性維持機構を解明する予定である。 1 Festuca rubraの遺伝的特性と生態学的特性の関係。いくつかのFestuca rubraの株をKrkonose山の調査地より採集し、DNA-RAPD法により13の異なるクローンを確認した。それらのクローンの栽培実験の結果、光のred/far red比によって引き起こされる地上部シュートの生長パターンおよび地下茎の分枝パターンと生長率の可塑性などの生態学的特性がクローン間で有意に異なることがわかった。様々な生態学的特性を示す遺伝的に異なるクローンから構成されているFestuca rubra個体群は、調査地のような不均一な環境条件を十分有効に利用することが可能であり、個体群の維持機構の重要な要因となっている。 2 Festuca rubraのシュートの生長動態と個体群統計学。Krkonose山の調査地において、Festuca rubraのシュート約1000本の生長速度、死亡率、開花率を4年間継続調査したデータを解析した。Festuca rubraのシュートの運命はシュート形成時1年目というごく初期に決定され、その時期を生き延びたシュートはそれ以降はシュート間の競争の影響も殆ど無く、同じようなサイズで安定したシュート個体群へと発展してゆくことがわかった。 上記1、2で示された機構により、Festuca rubra個体群が維持されていると結論される。 (当初計画との変更点) 平成8年10月1日から17日にかけてT.Herbenが来日してデータ解析や研究打ち合わせなどを行う予定であったが、彼の所属する研究所および大学での都合(講義、会議など)により来日する時間的余裕が無くなってしまった。その代わりに鈴木準一郎が平成8年11月27日から12月19日までプラハに滞在して研究打ち合わせなどを行った。
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[Publications] Skalova,H.,Pechackova,S.,Suzuki,J.,Herben,T.,Hara,T.,Hadincova,V.& Krahulec,F.: "Within population genetic differentiation in traits affecting clonal growth : Festuca rubra in a montain grassland." Journal of Evolutinary Biology. 10(in press). (1996)
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[Publications] Hara,T.& Herben,T.: "Shoot growth dynamics and size-dependent shoot fate of a clonal plant,Festuca rubra,in a mountain grassland." Researches on Population Ecology. 40(in press). (1997)