1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08208101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中兼 和津次 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80114958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 宏 一橋大学, 経済学部, 助教授 (50211280)
加藤 弘之 神戸大学, 経済学部, 教授 (70152741)
杜 進 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (00207515)
田嶋 俊雄 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (10171696)
上原 一慶 京都大学, 経済研究所, 教授 (60052544)
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Keywords | 中国の経済発展 / アジア通貨危機 / 財政・金融改革 / 企業改革 / 経済発展と所得分配 / 体制転換・移行 |
Research Abstract |
中兼和津次は、中国の国有企業改革と失業問題に焦点を当て、体制移行過程における失業発生のメカニズムを調べ、また国有企業の効率性決定の分析に対してサーベイと分析を行った。上原一慶は、国有企業の経営悪化の原因に関する検討を行い、とくに所有制改革におけるいくつかの見解を吟味し、事実上の党支配・所有の企業が生まれかねない危険性を指摘した。 田嶋俊雄は、金融機関の企業化と投資体制の構造的変化は、ソフトな予算制約のハード化を通じ、国有企業改革を促進することになること、また従来の総量規制や窓口規制に、準備金の調整や債券市場を通じた公開市場操作、公定歩合の調整が加わり、マクロ経済運営の金融化・間接化が進むと論証した。加藤弘之は、市場経済への移行を目指す中国にとって、市場化の進展とは計画と市場との統合であると同時に、多様な発展段階にある地域間での統合と捉え、地域統合を促進する具体的施策として“地域経済圏"構想を取り上げ、経済圏構想が提起された背景を探り、経済圏形成の現状と今後の課題を提示した。佐藤宏は、中国の所得分配問題に関する社会学・政治学的側面からの研究サーベイを,いわゆる市場移行論争(market transition debate)を中心として行った。同時に中国各地における所得分配の実態と要因とにかんする調査を行った。杜進は、東アジア通貨・金融危機発生後、中国との関係において取り上げられることの多い次の2つの問題、すなわち1)1994年の人民元切り下げを東アジア通貨・金融危機の一つの原因とみるべきか否か、2)割高になった中国と香港の通貨の切り下げを回避できるかを追求し、それらに対して否定的見解を展開した。
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[Publications] 中兼和津次: "「中国の失業問題を考える」" 『シリーズ中国領域研究』第4号. 1-11 (1997)
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[Publications] 中兼和津次: "″Beyond the Controversy between Gradualism and the Shock Therapy --Gradualism in China Reconsidered″" 『シリーズ中国領域研究』第5号. 1-10 (1997)
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[Publications] 上原 一慶: "「国有企業の経営悪化と対外開放政策の進展」" 『中国の対外開放政策の変動と外資系企業』日中経済協会. 40-53 (1997)
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[Publications] 上原 一慶: "「中国の国有企業改革-現状と展望-」" 佐々木信彰編『現代中国経済の分析』世界思想社. 212-237 (1997)
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[Publications] 杜 進: "「中国の対外経済関係の発展と日本の対応」" (天児慧編著『中国は脅威か』勁草書房. 295-316 (1997)
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[Publications] 杜 進: "「中国経済の対外開放と局地経済圏-環黄海地域経済協力の再検討-」" (国際東アジア研究センター『東アジアへの視点』. 95-106 (1997)