1997 Fiscal Year Annual Research Report
産業連関表を中心とした二次統計の精度向上と分析枠組の拡充
Project/Area Number |
08209122
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 雅彦 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80051796)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 幹雄 東海大学, 教養学部, 助手 (50287033)
池田 明由 早稲田大学, 社会科学部, 助教授 (60222874)
河井 啓希 慶應義塾大学, 経済学部, 専任講師 (00276396)
桜本 光 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (20051899)
|
Keywords | 第1次統計 / 第2次統計の精度 / 産業連関表 / 投入係数 / 工業統計調査 / 規模の経済性 / 投入実績調査 / 標本抽出の偏り |
Research Abstract |
本研究の目的は、第1次統計(elementary statistics)を再編・加工した第2次統計に関して、その統計的精度の向上と分析枠組の拡充を、第1次統計に遡って検討することである。本来、第1次統計は特定の分析目的に対応して作成されているわけではない。したがって、特定の分析目的のためには、その再編・加工を必要とするものである。本研究では、第2次統計として、一国経済の産業構造分析に不可欠な産業関連表を取り上げ、その統計的精度を産業連関分析モデルにおける理論仮説との整合性という観点から分析した。特に、分析の対象としたのは、第2次統計としての産業連関表から推計される投入係数の推計値である。この投入係数は、産業構造の技術的特性を記述するだけでなく、財・サービスの産生過程における産業諸部門間の相互依存関係を記述する、基本的なパラメターである。それゆえ、その統計的精度の如何によっては、分析結果に歪みをもたらすことになり、ひいては分析結果に基づく産業構造政策にも影響を与える。本研究では、特に製造業に該当する部門の投入係数に焦点を絞り、主な第1次統計である「工業統計調査」のミクロデータを用いて、産業連関表から推定される投入係数とミクロデータから推計される投入係数の比較分析を試みた。産業連関モデルにおける投入係数は、要素制約型生産関数(理論仮説)における固定係数として定義されている。同時に、この産業関数では一次同次性が仮定されていることから、特定産業部門における投入係数は、算出(生産)される財が同一であるならば、各生産単位(事業所レベル)において等しい値をとるといえる。しかし、本研究の分析結果によれば、よく統御された事業所レベルの投入係数が特定の分布に従うことが判明した。つまり、一次同次性は棄却され、規模の経済性が検出された。問題は、この分布の平均値と産業連関表から推計される投入係数が乖離しているケースがみられるという点である。その要因としては、産業連関表の投入係数を推計するために行われる特別調査(「投入実績調査」)における標本抽出の偏りがあげられる。
|