1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08240105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮崎 哲郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90023126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒口 健治 広島大学, 工学部, 助手 (80291483)
長谷 博友 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20027460)
荒殿 保幸 日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 主任研究員
中村 宏樹 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (10010935)
塩谷 優 広島大学, 工学部, 教授 (80002137)
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Keywords | トンネル反応 / 固体水素 / 非断熱遷移 / 核スピン一回転状態結合 / 原子バブル / 銀ニ量体カチオン / ファンデルワールス錯体 / ビタミンC |
Research Abstract |
固体パラ水素中のH_2アニオンのトンネル反応が、反応物だけでなく周囲の構造変化も伴う多自由度トンネル現象であることを実験結果から示した。これはトンネル反応の新しいモデルである。また、電子・核二重共鳴法により固体水素中のH原子の周囲の微視的構造を初めて明確に出来た。 極低温アルゴンマトリックス中に生成・捕捉された部分重水素置換メチルラジカルの量子回転拡散を研究した。 高分解能ESRスペクトルの観測に成功し、メチルラジカルの核スピン一回転状態結合の選択性、重水素および温度効果を検討した。 水素原子移行化学反応の量子動力学を解明するために、新しい超球楕円座標系を導入し、計算効率の向上と反応機構の解明で大きな成果を上げることが出来た。また、我々の開発した非断熱遷移理論を用いて様々な分子過程を外場によって制御する新手法を提唱した。 1.3K超・常流動^3He-^4He混合溶媒中、^3He(n,p)Tで生成するp(H)とTの再結合反応の大きな同位体効果(100-200)は、液体ヘリウム中に特異的に形成される原子バブル同士のトンネル反応によることを明らかにした。再結合反応におけるトンネル効果の初めての観測である。 有機ガラス中で放射線化学的に銀原子を生成させると、Ag^0+Ag^+→Ag_2^+で二量体力チオンが生成する。4K照射では77K昇温直後にこの反応が起こる。これはAg^0捕捉サイトの緩和に伴うトンネル反応の寄与によって説明される。 30K以下の固体アルゴンマトリックス中で、水素原子・水素分子トンネル反応の反応前駆体であるファンデルワールス錯体(H・・・H_2)をESR法で観測し、その安定化エネルギー(3.5kJmol^<-1>)を評価した。 哺乳動物細胞中で、長寿命ラジカルはガンを誘発する。ビタミンCはトンネル反応によってラジカルを除去し、ガンを抑制する。本年は電子スピンエコー法により、この反応が生体高分子の内部で起こることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Miyazaki: "Quantum tunneling of D(H)atoms and H_2 anions in solid hydrogen" J.Low Temp.Phys.111. 453-461 (1998)
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[Publications] P.Wang: "Structure and dynamics of radical cations of selectively deuteriated cyclohexanes" Chem.Phys.Lett.292. 110-114 (1998)
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[Publications] Y.Teranishi: "Control of time-dependent nonadiabatic processes by an external field" Phys.Rev.Lett.81. 2032-2035 (1998)
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[Publications] Y.Miyatake: "Emission characteristics of silver atoms in irradiated organic solid solutions at 77 K" J.Phys.Chem.102. 8389-8394 (1998)
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[Publications] K.Komaguchi: "H atom-H_2 molecule van der Waals complexes in solid argon matrix by high-resolution ESR spectroscopy" Chem.Phys.Lett.300. 257-261 (1998)
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[Publications] S.Koyama: "Radiation-induced long-lived radicals which cause mutation and transformation" Mutation Res.421. 45-54 (1998)