1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08301032
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菅原 憲二 千葉大学, 文学部, 教授 (00162850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 達雄 愛媛大学, 法文学部, 教授 (00136300)
田島 佳也 神奈川大学短期大学部, 商学科, 教授 (40201610)
飯塚 一幸 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (50259892)
安藤 正人 国文学研究資料館, 史料館, 教授 (90113422)
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Keywords | 庄屋所 / 網主・網子関係 / 村君 / 名望家 / 三等郵便局 / 庄屋無役地 / 角筆文献 / 五分一銀 |
Research Abstract |
1. 1998年8月19〜23日にかけて宇和島市三浦において、33名の参加によって、11回目の文書調査合宿を行った。その際、伝存場所である旧庄屋所一部およびその周辺から、あらたに近代・現代の文書資料などの発見があった。 2. 調査済みの田中家文書の6800点余りの目録を刊行し、調査の成果を公開した。しかし、調査済みでパソコンのデータベース化したものは10000点を越えており、この刊行し得なかった文書目録の刊行が課題となった。 3. 調査済み文書のうち、南宇和海という浦方地域社会の特質が解明できる法制史料、庄屋の御用日記、漁業史料を中心にテキストデータの作成を進め、史料集として刊行できる準備をほぼ整えた。 4. 本研究は文書調査と史料集刊行準備に重点があった。その作業と並行して研究会を行い、成果を共有した。それを報告書にまとめることが出来た。浦方における旧村役人一名望家の所蔵文書と地域の繋がりの特質とその内容の豊かさを明確にした。その概要は以下の通りである。 (1) 南予に展開する浦方はその内部に自律性のかなり強い複数の浦からなる複合的な地域社会構造をとること、その地域内社会を統合する庄屋は公的施設である庄屋所で行政に預かり、かつ庄屋無役地などの特権を行使した。 (2) 一方その庄屋や村役人は藩から本網を保障されていたが、網主としての経営は網子を主たる構成員とした各地域社会の論理に規制されていた。 (3) 近代になって旧庄屋、網主は名望家として展開するが、田中家は次第に経営を悪化させる。その過程ではこれまで知られなかった庄屋無役地訴訟と自由民権運動との関わり、名望家子息の思想遍歴、また近代の郵便局経営が解明の緒に付いた。 (4) 古文書を言語史料として読み解く可能性が提示された。そのほかにも漁業年貢や漁獲品の移出に関する史料にかんする貴重な研究成果を報告書にまとめた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 安藤 正人: "Encoded Archival Description (EAD)-記録史料目録情報の電子化、PROの試み-" 「記録史料の情報資源化と史料管理学の体系化に関する研究」研究レポート. 第2号. 112-116 (1998)
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[Publications] 矢野 達雄: "伊予三藩における庄屋役地の形成と展開-庄屋抜地訴訟・無役地事件の歴史的前提-(4)" 愛媛法学会雑誌. 25巻2号. 31-51 (1998)
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[Publications] 矢野 達雄: "伊予三藩における庄屋役地の形成と展開-庄屋抜地訴訟・無役地事件の歴史的前提-(5完)" 愛媛法学会雑誌. 25巻3号. 31-53 (1999)
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[Publications] 安藤 正人: "記録史料学と現代-アーカイブズの科学をめざして-" 吉川弘文館, 370 (1998)
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[Publications] 北海道・東北史研究会(田島佳也ほか): "札幌シンポジウム「北からの日本史 場所請負制とアイヌ」" (有)北海道出版企画センター, 431 (1998)