1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本における人的資源管理に関する実証的研究-管理制度の生成,発展への歴史的パースペクティヴ-
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08303004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 総合 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐口 和郎 東京大学, 大学院・経済学研究科・経済学部, 助教授 (10170656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 隆 信州大学, 経済学部, 助教授 (00226416)
上田 修 桃山学院大学, 社会学部, 助教授 (30160162)
市原 博 城西国際大学, 経営情報学部, 助教授 (30168322)
橋元 秀一 國学院大学, 経済学部, 助教授 (20183907)
森 建資 東京大学, 大学院・経済学研究科・経済学部, 教授 (00116683)
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Keywords | 能力 / 現場監督者 / 職務 / シングルステイタス / 要員管理 / 技能養成 / 労使協議制 / 定年制度 |
Research Abstract |
本年度は、計四回ほどの全体研究会が行われ、その中で各人の研究課題が明確化されたが、それとともに全体で共有すべき論点もいくつか浮かび上がった。第一は日本での人的資源管理を考える上での現場監督者の地位の重要さである。歴史研究ではともすると「権限を吸収され続ける存在」として描かれがちなこの層であるが、他方で現状分析においてはトヨタシステムの研究をもちだすまでもなく、生産・人事・労務管理の鍵を握る存在として位置づけられている。このギャップを埋めていくこと、しかもそれを60年代後半から70年代にかけて起こった技能者の養成制度の変化との関連もふまえて行っていくことが課題として浮上した。第二は日本の人的資源管理を考える上でのいわゆる「シングルステイタス」問題の重要性である。これ自体は工員と職員との関係の問題としてすでに指摘されてきたことではある。しかしこの問題は通常理解されてきたほど単純なものではなく、労働者の志向も一方で対等な扱いを求めつつ、他方でなんらかの差異を常に求めていくといった両義性を帯びたものであった。この点は特に韓国での人事制度改革との対比で浮かび上がったものである。またこうした「シングルステイタス」問題が、広い意味での能力観を考えていく上での手がかりになっていくことも明かとなった。また第三に日本での「職務概念」の相対化の必要性も、アメリカのみならず、中国・韓国などの東アジア諸国との対比をおこなう過程で明確となってきた。
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[Publications] 佐口 和郎: "The Japanese Employment Ssytem and Meritocracy in a Historical Perspective" 産経研ディスカッションペ-パ-(東京大学 経済学部). 96-F-21. 1-15 (1996)
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[Publications] 市原 博: "生産システムへの日本的展開と労働者" 社会政策学会年報. 41(未定). (1997)