1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本における人的資源管理に関する実証的研究-管理制度の生成.発展への歴史的パースペクティブ-
Project/Area Number |
08303004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐口 和郎 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10170656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鎔基 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (90281873)
菅沼 隆 立教大学, 経済学部, 助教授 (00226416)
市原 博 城西国際大学, 経営情報学部, 助教授 (30168322)
上田 修 桃山学院大学, 社会学部, 助教授 (30160162)
森 建資 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00116683)
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Keywords | 能力 / 現場監督者 / 職務 / 資格 / シングルスティタス / 定期昇給 / 非正規雇用 / 福利厚生 |
Research Abstract |
本年度は、各担当者個別の調査・研究に加え、二回の合宿研究会を含めて計四回の全体研究会が行われた。また関連する領域担当者間の研究連絡も頻繋にもたれた。とりわけ全体研究会では、中国・韓国などの東アジア、アメリカ・イギリスなどのアングロサクソン系の諸制度との比較を強く意識した議論がなされた。そのなかで「労務管理」という俗語が含意する領域を、「公正さ(fairness、equity)」・「効率性(efficiency、competitiveness)」・(生活保障(safetynet、security)」を実現する制度として原理的(普遍的)にとらえ直し、そのうえで二十世紀的な「管理」概念(権威・権力を含め)を検討していくことが確認された。また、日本の制度の特質をみる場合に、「工職の処遇の関係」、「職務と資格との関係」、「現場監督者の位置・機能」、「昇給の体系」、「正規雇用と非正規雇用との関係」、「企業の共同体的側面」などが重要な論点として浮かびあがった。これらの論点は他の社会の制度との真の意味での比較を可能にするのみでなく、日本の労務管理史の諸通説(例えば60年度後半での労務管理の「日本化」)を相対化し、歴史を再解釈していく上でも有意味であると考えられる。これらをふまえて各自の分担関係もより明確となった。なお資料の発掘という点では、技術者についての雇用・生産管理、造船産業での生産管理、教育訓練の領域(職務分析との関連も含めた)などで著しい進展がみられた。
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[Publications] 市原 博: "戦時期日本企業の朝鮮人管理の実態" 土地制度史学. 157. 17-30 (1997)
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[Publications] 金 鎔基: "1950年代韓国企業の経営管理と労働者" 大原社会問題研究所雑誌. 469号. 1-22 (1997)
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[Publications] 相田利雄/金鎔基: "韓国造船産業の経営管理と労使関係" 大原社会問題研究所雑誌. 469号. 38-63 (1997)
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[Publications] 上田 修: "建造システムの転換と現場監督者" 社会政策学会年報第42集. (1998)
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[Publications] 上田 修: "生産システムの転換と労使関係" ミネルヴァ書房, 400+α (1998)