1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本における人的資源管理に関する実証的研究-管理制度の生成、発表への歴史的パースペクティブ-
Project/Area Number |
08303004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐口 和郎 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10170656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鎔基 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (90281873)
菅沼 隆 立教大学, 経済学部, 助教授 (00226416)
市原 博 城西国際大学, 経営情報学部, 助教授 (30168322)
上田 修 桃山学院大学, 社会学部, 助教授 (30160162)
森 建資 東京大学, 大学院・経済学研究科・経済学部, 教授 (00116683)
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Keywords | 社会的安全ネット / 職務 / 資格 / 職場 / 生産管理 / 能力主義 / 企業福祉 / 制度 |
Research Abstract |
本年度は、各担当者個別の調査・研究に加えて、一回の合宿研究会を含めて計三回の全体研究会が行われた。また昨年に引き続き、関連する領域担当者間の研究連絡も頻繁にもたれた。本年度は、本研究会のとりまとめの時期であり、全体研究会では主に各担当者の作成したディスカッションペーパーの検討が行われた。そこでは各担当者の論点の調整、各担当者の研究の研究会全体の中での位置の確認が最終的に行われた。 本研究では昨年度より、「労務管理」を「公正さ」、「効率性」、「生活保障」を実現する制度としてとらえ返していくという観点が共有されてきている。本年度は、特に「効率性」の領域で、生産管理の進化の過程が「労務管理」、具体的には要員管理、訓練制度、賃金制度にどのような影響を与えていくのか、両者の対応関係如何について、造船・重電機産業を事例として議論を深めることができた。また「生活保障」の領域では、定年制度やそれに関わる雇用保障や賃金制度、企業福祉に関係する諸制度(特に持ち家制度)と労働者と生活過程、特に家族のあり方との関係について議論が深められた。さらに「公正さ」の領域に関連しては、「職場」での労働者の利害関係を一枚岩でとらえるのではなく、その多層性をふまえての利害調整、正統性の形成過程の分析が必要であることが鉄鋼産業での事例研究を通して確認された。 また方法上の検討という点では、近年の経営史研究の成果に学び、ある制度上の革新がどのように伝播あるいは修正されていくのかについてきめ細かい観察が重要である点についても議論され、制度進化の分析方法についての認識を深めることとなった。
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[Publications] 柳沢 敏勝: "社会的経済セクターを担う労働者協同組合" 生活協同組合研究. 267号. 40-46 (1998)
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[Publications] 上田 修: "建造システムの転換と現場監督者" 社会政策学会年報 アジアの労働と生活. 第42集. 189-206 (1998)
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[Publications] 菅沼 隆: "パラダイム転換論と占領期福祉改革の理念" 週刊社会保障2009号. 52巻. 24-27 (1998)
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[Publications] 金 鎔基: "韓国の大企業労働者は穏健化しつつあるか" 社会政策学会年報 アジアの労働と生活. 第42集. 113-132 (1998)
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[Publications] 橋元 秀一: "リストラクチュアリングにおける人材活用" 国学院経済学. 47(2)(発表予定). (1999)