1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08303011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 総合 |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 弘文 九州大学, 経済学部, 教授 (60047735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 源 鹿児島大学, 法文学部, 講師 (60253853)
世利 洋介 久留米大学, 経済学部, 助教授 (40248349)
赤石 孝次 長崎大学, 経済学部, 助教授 (20192875)
中村 良広 北九州大学, 経済学部, 教授 (20117526)
澤井 勝 北九州大学, 法学部, 教授 (30254618)
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Keywords | 課税協調 / 課税調和 / 連邦制国家 / 課税権 / 課税ベース |
Research Abstract |
本年度においては、各連邦制国家内の課税協調・課税調和の主要な事項を摘出して、論点の整理を進めた。その際、下記の諸点を明らかにした。 1.連邦政府と州の間の垂直的な課税協調の在り方は実に多様である。ドイツにおいては共通税方式により、アメリカにおいては州法人税の連邦政府レベルでの控除により、またスイスにおいては連邦政府に専属する税目を連邦憲法で規定することにより、更にカナダにおいては連邦政府に課税徴収を任せるPiggyback-ingにより、それぞれ垂直的な課税協調を行っている。 2.州レベルでの課税権の発揮できる範囲によって、水平的な課税協調の在り方も異なってくる。この課税権が強い場合(アメリカ、スイス)には、課税ベースの配分方式の在り方と課税ベースの統一が、またそれが比較的制限されている場合(ドイツ、カナダ)には、税率の州間での相違が、それぞれ主な論点となっている。 3.課税調和の問題は、連邦政府と州政府の間の課税の重複が存在し、かつ課税ベースの定義が双方の政府水準の間で異なっている場合に重要な論点となっている。この場合、課税調和は、州の課税権の保障とトレードオフの関係になっている点が強く警戒されている。州間の課税ベースが統一されていない場合にも、この課税調和が重視される。この意味での課税調和は、特にアメリカ、スイスで懸案となっている。 4.立地上の中立性、地域間の公平性、納税者間の公平、という課税の評価基準に照らしてみてみると、各連邦制国家で採られている課税協調・課税調和の在り方によって、これらの基準の達成の程度に違いが出てくる。
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Research Products
(1 results)