1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08303011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 弘文 九州大学, 経済学部, 教授 (60047735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 源 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (60253853)
世利 洋介 久留米大学, 経済学部, 助教授 (40248349)
赤石 孝次 長崎大学, 経済学部, 助教授 (20192875)
中村 良広 北九州大学, 経済学部, 教授 (20117526)
澤井 勝 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30254618)
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Keywords | 課税協調 / 州・地方税控除 / 州間租税競争 / 小売売上税 / カントン間二重課税 / 免除方式 |
Research Abstract |
前年度においては、各連邦制国家内の連邦政府と州政府の間の課税協調の在り方に力点を置いて検討した。本年度は、この垂直的な課説協調を踏まえた上で、次のような諸点を明らかにした。 1.アメリカにおいては、連邦個人所得税における州・地方税控除という課税協調が採られている。しかし、1986年説制改革法の審議過程において、財務省は、理想的財政連邦主義モデルと包括的所得税論を根拠として、この控除制度の廃止を主張した、この主張は、租税論として検討してみると、論理的問題があること、また、法人関連税の全体的負担水準の引き下げ、全政府レベルの規模の縮小と財源の連邦への集中、連邦個人所得税税率引き下げのための財源確保、という政策的含意があることを指摘できる。 2.またアメリカにおいては、小売売上税が州政府で採用されている。しかし、その税率が州間で統一されている訳ではないため、州間の租税競争がみられる。この場合、州外購入によって税収確保が損なわれることになる。そこで、「売上」ではなく「利用」に対して課税される利用税の適用、という形でも州間の租税競争が展開されるようになった。この利用税の課税要件に関しては、合衆国憲法上の制約(州際通商条項と正当手続条項)との関連で、議論の変遷が認められる。 3.スイスにおいては、カントン(州政府)の課税立法権が保証されているため、カントン間二重課税が生じる可能性がある。しかし、この問題は、連邦裁判所め判例に基づく累進付き免除方式を適用することで排除されている。この場合、税額決定に対して他のカントンの税制の関与を受けないこと、課税所得の算出においてカントン固有の税法に基づくことができること等の点でカントンの課税自主権を発揮できる、という特徴がある。
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Research Products
(2 results)