1998 Fiscal Year Annual Research Report
サクラソウをめぐる生物間相互作用-その生態的・進化的意義の検討-
Project/Area Number |
08304040
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (40191738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 幸彦 筑波大学, 生物科学系, 講師 (90237074)
牧 雅之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60263985)
鈴木 和雄 山口県立大学, 生活科学部, 教授 (50187712)
加藤 真 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80204494)
大串 隆之 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10203746)
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Keywords | サクラソウ / マルハナバチ / 生物間相互作用 / ポリネーター / 異型花柱性 / 累殖成功 / ポリネーターセラピー / 保全生態学 |
Research Abstract |
サクラソウの野生個体群のおよそ200個体、約800花についてマルハナバチ女王の関与による受粉および種子生産を解析し、送粉昆虫の利用性や花の形質が繁殖成功に及ぼす影響をパス分析法で解析した。和合性のある花粉の受粉量は長花柱型の方が約3倍多く,モルフ間の形態の違いが受粉の段階での適応度成分に与える顕著な影響が認められた。この自生地ではマルハナバチの訪花は十分であり、爪跡で評価した「訪花」の有無は適応度成分に有意な効果はもたらしていなかった。しかし、ほとんどの花で種子生産に十分な受粉が認められた長花柱モルフでは,柱頭の高さと受粉や種子生産との間に有意な関係はみられないのに対して,概して受粉量の少なかった短花柱モルフでは,柱頭が高いものほど和合性のある花粉の受粉量が大きく種子生産も大きいという、繁殖器官の位置の効果が示された。短花柱モルフで柱頭を高くする方向への選択圧が明瞭なのは,筒形花冠では,花筒のより深い位置にある柱頭ではその僅かな高さの違いによって送粉者との接触の程度が変化するためであると解釈された。 一方、網室を用いた小規模なポリネータセラピーの実験では、昨年度に引き続き、トラマルハナバチの女王は非常に効率のよいポリネーターであり、花粉の持ち越し量も十分なため、1頭でシーズン中に数万から数十万の花に適法授粉をもたらす可能性が示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nishihiro, J.: "Patterns and consequences of self-pollen deposition on stigmas in heterostylous Persicaria japonica(Polygonaceae)" American Journal of Botany. 85. 352-359 (1998)
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[Publications] Inoue, K.: "Identification of conservation measares to protect the Japanese endangered plant species Aster Kantoensic" Ecological Research. 13. 141-149 (1998)
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[Publications] Nishihiro,J.: "Effect of population spatial structure on pallination and seed set of a clonal distylous plant Persicaria japonica(Polygonaceae)" Journal of Plant Research. 111. 547-555 (1998)
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[Publications] 鷲谷 いづみ: "保全生態学からみたセイヨウオオマルハナバチの侵入問題" 日本生態学会誌. 43. 73-78 (1998)
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[Publications] 鷲谷 いづみ: "サクラソウとトラマルハナバチの相利的関係" 昆虫と自然. 5. 22-25 (1998)
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[Publications] 鷲谷 いづみ: "生態系管理における順応的管理" 保全生態学研究. 3. 145-166 (1998)
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[Publications] 鷲谷 いづみ: "サクラソウの目-保全生態学とは何か-" 地人書館, 229 (1998)