1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08304050
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 守彦 筑波大学, 体育科学系, 教授 (60011615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 信寿 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70101996)
熊倉 博雄 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (00178063)
木村 賛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20161565)
浜田 穣 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (40172978)
木村 忠直 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (70102374)
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Keywords | 霊長類 / ロコモーション / 形態 / 適応 / 足根骨 / 大腿骨 / 筋線維 / 筋紡錘 |
Research Abstract |
昨年度にひき続き総合研究を実施し、以下の知見を得た。1)距骨下関節の運動をヒトとマカクについて比較した結果,マカクはヒトに比べ、外反から内反に転じる際の距骨の内道成分が相対的に小さかった。この原因は踵骨後関節面の長軸が踵骨自体の長軸と一致することによるものであり、このような踵骨下関節の運動特性は二足適応を欠く霊長類の原始的特徴と考えられる。2)オペラント条件づけを利用したラットの二足起立姿勢において、比較的大きな活動を示した浅殿筋や内転筋群の大腿骨における停止部位周辺では、二足起立負荷ラットの骨緻密質が局部的に増加していた。これらの所見は二足起立負荷に伴う骨形態の変化が筋収縮によるものであることを示唆している。3)大腰筋の各タイプ(I〜III)の筋線維の太さを計測し、ヒト,オランウータン,マントヒヒ,アヌビスヒヒ,ニホンザルについて比較したところ、サル類ではI型(遅筋)が小径,III型(中間筋)が中径,II型(速筋)か大径であるのに対して、ヒトはこれとは逆の順序を示した。これはヒトのバイベタリズムに関連する特徴と考えられる。4)ニホンザルとテナガザルの大腿外旋筋群の全筋連続切片を作製し、筋紡錘数と計測した。ニホンザルはテナガザルよりも筋ごとの筋紡錘数の分化が著しく、とくに上双子筋の筋紡錘数が多かった。これらの結果は種特異的な運動様式に対応していると考えられた。5)野生ニホンザルの移動運動における上下肢の使われ方をビデオにより分析したところ、成熟に伴い上下肢にも圧力のかかる型、非浮遊常接型が多くなるが、下肢には跳躍のための推進力と着地時において圧力のかかる場面が多く、上下肢に機能差があることが示唆された。6)霊長類の中では後肢優位の比較的明瞭でないニホンザルにおける上下肢機能分化の個体発達を半縦断的にしらべた。1〜6ケ月齢の幼体において、明確な後肢優位現象は見られることが多く、部分的に現れる時期は運動様式のレパートリーが増す時期と一致していた。
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