1996 Fiscal Year Annual Research Report
新素材を用いた既存コンクリート構造物の補強設計法に関する研究
Project/Area Number |
08305012
|
Section | 総合 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 多門 北海道大学, 工学部, 助教授 (00151796)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 篤司 京都大学, 工学部, 助手 (30243067)
睦好 宏史 埼玉学, 工学部, 教授 (60134334)
中村 光 山梨大学, 工学部, 助教授 (60242616)
佐藤 靖彦 北海道大学, 工学部, 助手 (60261327)
志村 和紀 北海道大学, 工学部, 助手 (60187474)
|
Keywords | 補強 / 連続繊維シート / 外ケーブル / 変形 / 耐力 |
Research Abstract |
本研究は、連続繊維シート補強部材および連続繊維ロープ等を用いた外ケーブル補強部材の設計方法を構築することを目的としたものである。研究初年である本年度は、各補強部材の静的荷重下における耐力及び変形性能に関する実験的検討を主として行った。本年度に得られた知見を連続繊維シート補強部材と外ケーブル補強部材に分けて以下に示す。 【連続繊維シート補強部材】 (1)連続繊維シートの定着において実際にシートが力を受け持っている定着長さ(有効付着長)は、連続繊維シートの剛性が大きくなるほど短くなることが明らかとなった。剥離直前においては、有効付着長内のシートの歪み分布は直線となり、その勾配は剛性の大きさ等によらず概ね一定と考えることができ、これらを考慮にいれた剥離発生荷重の予測方法を見いだした。さらに、非線形有限要素解析により、実験結果の予測を試みた結果、コンクリートの材料非線形性を考慮することにより、その歪み性状を概ねシミュレートできることが示された。ただし、剥離発生荷重は的確に予測できておらず今後の課題である。 (2)連続繊維シートをはりの下面に貼り付けた場合の変形及び耐力は、断面分割法により概ね評価できる。 (3)はりの側面に連続繊維シートを貼り付けることにより、部材のせん断耐力が増加することを確認するとともに、剥離が発生しせん断破壊する場合のシートのせん断補強効果の算定方法を構築した。さらに、連続繊維シートをフラットプレートを介しアンカーボルトにより定着することにより、より大きなせん断補強効果が得られることを明らかにした。今後は、アンカー定着した場合の連続繊維シートの付着強度を明らかにした上で、そのせん断補強効果の算定方法を見いだす必要がある。 【外ケーブル補強部材】 (1)変形の適合条件及びケーブルの位置変化を考慮した解析手法により、外ケーブル補強部材の曲げ挙動を精度良く求めることができることを明らかにした。今後は、外ケーブルの曲線配置による強度低下が大きい連続繊維補強材を用いた場合には、解析において曲げ位置における強度低下を考慮に入れる必要がある。 (2)緊張力が連続繊維緊張材の破断荷重の40から50%の範囲では、上限荷重がひび割れ発生荷重程度であれば、200万回の繰返し載荷でも破壊せず、耐力の低下も認められず、十分な疲労特性を有していることから明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 浅野 靖幸: "炭素繊維シートの付着特性について" 新素材のコンクリート構造物への利用シンポジウム論文報告集. 75-80 (1996)
-
[Publications] 高橋 義裕: "RCはりの曲げ補強材として用いた炭素繊維シートの性状" 新素材のコンクリート構造物への利用シンポジウム論文報告集. 99-102 (1996)
-
[Publications] 出雲 健司: "アラミド繊維シートを緊張材として用いたPRC部材の曲げ・せん断補強効果" 新素材のコンクリート構造物への利用シンポジウム論文報告集. 141-146 (1996)
-
[Publications] SATO: "Shear Resisting Effect of Carbon Fiber Sheet Attached to Side of Reinforced Concrete Beams" Advanced Composite Materials in Bridge and Structures. 621-627 (1996)
-
[Publications] 睦好 宏史: "プレキャストセグメントを用いた外ケーブル式PCはりの曲げ性状および靱性改善に関する研究" 土木学会論文集. NO. 544/V-32. 155-167 (1996)
-
[Publications] 谷口 裕史: "ロープ系連続繊維補強材を外ケーブル緊張材に用いたPC部材の曲げ性状に関する研究" 土木学会論文集. NO. 544/V-32. 167-175 (1996)