1997 Fiscal Year Annual Research Report
地震に対する林地の安定性と山地災害に関する総合的研究
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08306008
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
林 拙郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (50024584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 智 静岡大学, 農学部, 教授 (60197720)
沖村 孝 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (50031125)
小川 滋 九州大学, 農学部, 教授 (30037973)
中村 浩之 東京農工大学, 農学部, 教授 (90242239)
川邊 洋 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (80126036)
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Keywords | 地震災害 / 斜面崩壊 / 地盤振動 / 地震動特性 / 地質構造 / スペクトル解析 / 常時微動 / 古地震災害 |
Research Abstract |
1.既往の地震災害に関する文献等の資料を収集し、地震規模、活断層、地形。地質あるいは地震前後の降雨状況と崩壊発生との関連を整理した。また、現地調査により、大規模崩壊の範囲や土砂量、地震後の地形変化および崩壊拡大の可能性等の見積もりを行った。対象地あるいは対象地震は次の通りである。大規模崩壊については、大谷崩れ・白鳥山・七面山(静岡県)、雲仙眉山(長崎県)、内陸型地震による多発型崩壊については、今市地震、北丹後地震、琵琶湖西岸地震、山口県北部地震。 2.局地的な地形・地質による地震動特性の違いを、実地で観測することができた。観測地は鹿児島県薩摩地方で、平成9年3月〜6月の鹿児島県北西部地震とその余震の震源地である。観測には昨年度当科研で購入した機器を使用した。また、地盤の振動特性を常時微動により判断した。その結果、シラス地盤で地震動が長周期化すること、花崗岩地帯では短周期の加速度が増幅されること等が明らかになった。さらに、そのような観測結果を、地盤の土質特性からある程度説明することができた。ここで得られた各地質毎の振動特性は、それぞれの地質地帯での崩壊分布と調和的であった。 3.地震に起因する人工斜面の変状の原因を、兵庫県南部地震時の宅地被害を例に、応答解析により明らかにした。それによると、変状被害は、宅地盛土と地山の旧表土層の境界ではなく、盛土下層の旧表土層が厚く軟弱な場合には、旧表土層と基盤との境界で発生した可能性が指摘された。 4.兵庫県南部地震時に山腹斜面上に形成された亀裂の経時変化が追跡調査された。また、亀裂の有無に注目して崩壊発生シミュレーションを行い、地下水深やその上昇の度合いが大きく変化することが確認された。
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