1997 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者による触法行為不起訴事例の処遇追跡調査と解析-法学、精神医学両側面からの犯罪学的研究
Project/Area Number |
08309003
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山上 晧 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 久雄 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (90051713)
佐藤 親次 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (90162437)
小田 晋 国際医療福祉大学, 教授 (90049156)
岡田 幸之 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (40282769)
小西 聖子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30251557)
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Keywords | 触法精神障害者 / 女性触法精神障害者 / 不起訴 / 処遇 / 精神鑑定 / 精神保健福祉法 / 再犯予測 / 追跡調査 |
Research Abstract |
本研究は、触法精神障害者に関する資料を収集、解析し、検討することにより、法律と医療という2つの領域の峡間で生ずる触法精神障害者の処遇に関する問題の解決に資することを目的として行われた。 本研究代表者らは、これまでに1980年に全国から法務省に報告された触法精神障害者の調査、1980年を起点としたそれらの追跡調査などをおこなってきた。これは日本で唯一の全国規模の触法精神障害者調査である。その解析により「性別、犯行時職業、前科前歴、精神分裂病であるか否か、犯行時同居家族の有無、犯行後入院の有無」が再犯予測因となるという有益な結果を得ている。 今回の研究では、1980年と1994年に法務省に報告された触法精神障害者総計2094例(1980年963例、1994年1,031例)について、以下の3つの調査を行った。 (1)1980年の精神分裂病犯罪者542例の再犯に関する11年間の追跡調査結果の分析では、発病前から非行犯罪傾向を有する「犯罪先行型」の事例がとくに危険であり、特別な処遇対策が必要であることなどを明らかにした。 (2)1980年の女性触法精神障害者140例と1994年の同130例の比較では、この14年間の精神障害者をめぐる環境の変化のもとで、女性触法精神障害者の動向に大きな変化が生じていることを明らかにした。 (3)1980年に精神科入院中に犯罪行為に及んだ23例についての犯行の実態と要因に関する調査では、医療者側が慎重に対応していれば予防可能な事例が少なくないことを明らかにし、事故予防のための提言を行った。 これらの調査を通じ、精神鑑定、精神保健法に基づく都道府県知事への通報を含む司法業務、措置入院の決定と措置解除業務などの公平性の検討、再犯要因の詳細な検討を行い、今後のわが国の触法精神障害者処遇策を考える上で、貴重な成果が得られたと考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Xie Liya: "Impact of Social Change on female Mentally Disordered offenders from 1980 to 1994 in Japan" J.Am.Acad Psychiatry Law. 25. 309-295 (1997)
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[Publications] 山上晧: "触法精神障害者と措置入院" 日本精神病院協会界雑誌. 17. 5-11 (1998)
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[Publications] Inoue T, et al: "Schizophrenia and Recidivism." Criminal Behaviour and Mental Health. (1998)