超高圧下における鉱物の相転移・融解とマントルの化学進化

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08404034
• Research Institution: Gakushuin University
• Principal Investigator: 赤荻 正樹 学習院大学, 理学部, 教授 (30126560)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鈴木 敏弘 学習院大学, 理学部, 助手 (40235974)
• Keywords: 高圧実験 / 熱測定 / 元素分配 / マントル / スピネル / ガ-ネット / ペロブスカイト / 珪酸塩メルト

Research Abstract

本年度の主要な成果を、以下の1-3に示す。
1.Fe_3Al_2Si_3O_<12>ガ-ネット(アルマンディン)のポスト・ガ-ネット転移を高温高圧下で調べ、約21GPa、1200-1600°Cでガ-ネット型からウスタイト、コランダム、スティショバイトの3相に分解することを明らかにした。また熱測定実験によってこの転移エンタルピーが179±6kJ/molであることが決定され、熱力学計算による分解境界線は高圧相平衡実験によるものとほぼ一致し、わずかに負の勾配をもつことが示された。
2.Mg_2SiO_4-Fe_2SiO_4系のスピネル-マグネシオウスタイオ間のMg-Fe分配実験を18.5-20.4GPa、1600°Cで行い、Fe_2SiO_4に富む側のスピネルの分解境界線を決定した。またMgSiO_3-FeSiO_<>系ペロブスカイトの熱測定を行い、転移エンタルピーに及ぼすFeの効果を見積もった。これらのデータを用いて、Mg_2SiO_4-Fe_2SiO_4系の全組成範囲にわたるポスト・スピネル転移の相平衡図を熱力学的に計算した。これは高圧実験による相平衡図を格段に精密化したものであるが、スピネルの高圧相として、高圧実験では見出されていなかったマグネシオウスタイト+スティショバイト2相の安定領域(約700°C以下、24GPa以上)が熱力学的に予測されたことが注目される。
1、2の成果をまとめた論文は国際学術誌に受理されており、近日中に出版される予定である。
3.珪酸塩メルトと高圧鉱物間の元素分配が、昨年度より広い圧力温度領域(15-23GPa、1900-2600°C)で調べられた。分配には1、2、3価の元素で0.5-1.1Åのイオン半径を持つ各種の陽イオンが用いられた。この結果、各鉱物のPC-IR図上にピークが現れ、それが各相に最適のイオン半径であることが示された。メジャーライトガ-ネットとメルト間のさらに詳細な分配実験を継続中である。

Research Products

• [Publications] Kubo,A.: "High pressure phase equilibria in the system CaTiO_3-CaSiO_3:stability of perovskite solid solutions." Phys.Chem.Minerals. 24. 488-494 (1997)
• [Publications] Kojitani,H.: "Melting enthalpies of mantle peridotite:calorimetric determinations in the system CaO-MgO-Al_2O_3-SiO_2 and application to magma generation" Earth Planet.Sci.Lett.153. 209-222 (1997)
• [Publications] 赤荻正樹: "高温高圧下におけるマントル鉱物の相転移とその熱力学的性質" 鉱物学雑誌. 26. 15-24 (1997)
• [Publications] Akaogi,M.: "High pressure dissociation of Fe_3Al_2Si_3O_<12> garnet:phase boundary determined by phase equilibrium experiments and calorimetry" Phys.Earth Planet.Inter.(in press). (1998)
• [Publications] Akaogi,M.: "Postspinel transformations in the system Mg_2SiO_4-Fe_2SiO_4:element partitioning,calorimetry,and thermodynamic calculation" High Pressure-Temperature Research:Properties of Earth and Planetary Materials. (in press). (1998)
• [Publications] Suzuki,T.: "Element partitioning between some mantle minerals and the coexisting silicate melt under high pressure" High Pressure-Temperature Research:Properties of Earth and Planetary Materials. (in press). (1998)