1997 Fiscal Year Annual Research Report
ピッチの低温改質プロセスによる層状化合物の組織制御
Project/Area Number |
08405056
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 榮一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70016830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥居 徳昌 東京工業大学, 工学部, 教授 (20111651)
松尾 陽太郎 東京工業大学, 工学部, 教授 (70016608)
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (40231807)
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Keywords | 炭素前駆体 / ヨウ素処理 / 組織制御 / 化学特性 / 反応機構 |
Research Abstract |
前年度の成果をもとに、本年度は先ず100℃のヨウ素飽和蒸気で原料ピッチを処理できる方法を確立した。この方法を用いることで原料ピッチの炭素化収率が飛躍的に向上し、72時間処理で90wt%を越える炭素化収率を得た。ヨウ素とピッチとの反応を詳細に検討するために、昨年度構築したTG-Massを用いて炭素化過程における反応ガスの分析を行った。その結果、TG曲線の200℃付近に屈曲点が観察され、この温度以下では主としてヨウ素が、この温度以上ではヨウ化水素が計測された。このことは、100℃でのヨウ素処理は、ヨウ素と原料ピッチが反応して化合物を形成しているのでは無く、炭素化過程で両者の間に化学的な相互作用が生じることを示唆している。事実、ヨウ素処理ピッチの顕微Raman測定では、ヨウ素と炭素との化学結合に起因するシフトは測定されなかった。しかし、赤外分光測定では、未処理ピッチとヨウ素処理ピッチとでは吸収スペクトルに違いが認められた。次年度、詳細な観察を行う計画である。 光学顕微鏡の観察画像をデジタル情報として取得し、画像解析を行うための基礎システムを構築した。本システムを用いてヨウ素処理ピッチと未処理ピッチの組織の相違(ドメイン組織の寸法)の定量化を行っている。また、高温熱処理(黒鉛化)を施した試料のXRDによる構造変化を測定し、ヨウ素処理によって黒鉛構造から乱層構造に構造が変化していることを突き止めた。 軟化点の低いピッチを用いて炭素繊維強化熱可塑複合材料を作製した後に、ヨウ素処理を行いC/C複合材料を作製するために必要な基礎的技術を確立した。
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[Publications] H. Kajiura et al.: "Carbonization and Graphitization Behavior of iodine-treated Coal Tar Pith" Carbon. 35. 169-174 (1997)
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[Publications] H. Shao et al.: "Layer-by-layer Polycondensation of Nylon 66 by Alternationg Vapour Deposition Polymerization" Polymer. 38. 459-462 (1997)