1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08407010
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 英生 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40033203)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉薗 久生 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90186487)
清水 徹 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (80235655)
中村 信一 金沢大学, 医学部細菌学教室, 教授 (90019620)
太田 敏子 筑波大学, 医療短期大学部, 教授 (40233134)
|
Keywords | 黄色ブドウ球菌 / ウェルシュ菌 / ディフィシル菌 / 毒素 / ストレス応答 / 遺伝子発現調節 / 細胞内情報伝達 / 熱ショック蛋白 |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌のストレス耐性の機構を明らかにするために熱、抗菌剤、金属、酸化等のストレスで新しく誘導ないしは発現する因子を解析した。β-ラクタム剤などの細胞壁合成阻害剤により誘導される蛋白(35kDa)と遺伝子を同定し、この蛋白に対する抗体を作製し、その機能や細胞内局在を検索した。熱ショックでは多くの蛋白が誘導され、その中には抗酸化酵素系、DNAgylaseやポリメラーゼも含まれていた。水銀、カドミュウムなどの重金属により誘導される蛋白と遺伝子を同定したが、これは特に亜鉛の取り込み輸送の関与する膜蛋白であり、この遺伝子の変異では亜鉛耐性が低下した。毒素の産生に関与するシグマ因子の解析をすすめ、シグマB因子が重要な調節因子であることがわかった。 ウエルシュ菌の病原因子遺伝子群の発現調節機構の解析では、細胞内情報伝達機構のより詳細なネットワークが明らかになり、2成分制御系に正の調節系と負の制御系があることが解り、それぞれの受容体-伝達系-作動遺伝子の関係を明らかにしつつある。また細胞間情報伝達に関与するフェロモン様物質も明らかになりつつある。ウエルシュ菌の外毒素遺伝子の発現は上位の調節遺伝子(virR/virS)により統括的に調節されていることを発見したが、単に外毒素の産生みならず菌の代謝経路の活性(フォスフォジエステラーゼなど)も調節していることがわかり、さらに、virR/virSの他にもこれに類似した高位調節系があることが判明した。 ディフィシル菌の毒素産生調節に関与する因子とその関連遺伝子を解析して、アルギニンやビオチンの濃度が腸管毒の産主に関与していることが明らかになった。 グラム陽性菌の病原因子の解析はグラム陰性菌のそれに比べて遅れている。その最大の理由は遺伝子操作が困難であり、遺伝子の変異の誘導、特定遺伝子の挿入・欠失が特定遺伝子に限られるためである。全ゲノム解析も枯草菌以外のグラム陽性菌ではなお明らかでないこともその困難な一面を反映している。しかし、本研究班では遺伝子操作が可能な特定菌株を作製しながら、順次解析を進めており、合わせてゲノム解析を行っている。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Yamakawa,K.,et al.: "Inhibition of enhanced roxin production by Clostridium difficile in biotin-limited conditions." J.Med.Microbiol.47. 767-771 (1998)
-
[Publications] Kuroda,M.,et al.: "The hsp operon is repressed by the hrc37 of the hsp 70 operon in Staphylococcus aureus." Microbiol.Immunol.43. 19-27 (1999)
-
[Publications] Kuroda,M.,et al.: "Choromosome-determined zinc responsible operon czr in Staphylococcus aureus." Microbiol.Immunol.43. 115-125 (1999)
-
[Publications] Aoki,Y.,et al.: "Characterization of small colony variants of methicillin-resistant Staphylococcus aureus regrown in the presence of Arbekacin." J.Infect Chemother. 4. 107-111 (1999)
-
[Publications] Hayashi,H.,et al.: "Salmonella Enteritidis." BIO Clinica. 12(14). 1048-1052 (1998)
-
[Publications] 林 英生: "逆境にある細菌の生き方" 遺伝. 52(4). 55-60 (1998)
-
[Publications] 林 英生・清水 徹: "毒素産生菌とその感染症" 竹田美文・本田武司編・医薬ジャーナル社, 255 (1998)