1997 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアの宗教文化における聖と賎との関わりに関する学際的研究
Project/Area Number |
08451006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉本 卓洲 金沢大学, 文学部, 教授 (80089218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 麦子 金沢大学, 文学部, 助手 (20251910)
島 岩 金沢大学, 文学部, 助教授 (40115580)
鹿野 勝彦 金沢大学, 文学部, 教授 (00169591)
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Keywords | 聖 / 賎 / 仏塔崇拝 / 菩薩信仰 / 聖者 / バクティ / フォキ-ル / カースト |
Research Abstract |
本年度は、「南アジアの宗教文化における聖と賎との関わり」の中でもとくに、文化人類学の側からの「俗の中に現れた聖」の問題を中心に研究を進めた。すなわち、西川による「ムスリムの物乞に見られる聖と賎との関わり」の問題を、一方では、鹿野による「カースト間の社会的交換関係に見られる聖と賎との関わり」というより広い視野の中で位置づけるとともに、他方では、杉本・島による仏教・ヒンドゥー教・イスラーム教的価値体系の最高位に位置する「救済」といった「聖」の側からもとらえなおしていこうと試みたのである。その成果はまだ、論文の形では発表されてはいないが、口頭発表としては、一九九七年七月一二日に、日本南アジア学会十周年記念金沢集会において、鹿野の司会のもと「聖者たちのインド」と題して、以下のような形で研究成果の発表を行った。 (一)「ヒンドゥー教における聖者崇拝の伝統--とくにシャンカラ・アーチャーリア信仰をめぐって」(天理大学教授澤井義次)、(二)「仏教における聖者崇拝の伝統:阿羅漢の菩薩--仏塔および仏像の信仰層を通して」(杉本卓洲)、(三)「聖者と西欧近代との出会い--アジアにおける宗教近代改革運動とヨーロッパにおける仏教の受容と変容」(島岩)、(四)「現代仏教の聖者--ゴエンカとヴィパッサナ-瞑想法」(島岩)、(五)「ムスリムの物乞の聖と俗--バングラデシュ農村におけるフォキ-ル」(西川麦子)、(六)「現代ヒンドゥー教の聖者:聖と俗のはざまで--サティヤ・サイババとサイババ現象」(東北大学助教授山下博司)。そしてこの成果は、『聖者たちのインド』(春秋社)として出版される予定であるが、来年度はその出版に向けてこれまでの研究の総括を行いたいと考えている。
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[Publications] 杉本卓洲: "仏塔の生成とその信仰の展開" 仏教学セミナー. 63. 41-59 (1996)
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[Publications] 杉本卓洲: "マトゥラ-における仏像崇拝の展開(その2)" 金沢大学文学部論集・行動科学哲学編. 18(3月刊行予定). (1998)
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[Publications] 杉本卓洲: "(書評)田辺和子著『バ-リ聖典に見られる物語文学の世界』" 北陸宗教文化. 10(4月刊行予定). (1998)
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[Publications] 鹿野勝彦: "インドにおける住民運動と国家-森林利用と林政をめぐって" 岩波講座人類学. 6. 201-227 (1997)
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[Publications] 島 岩: "インド新仏教の現状-TBMSGの活動-" 創文. 387. 6-10 (1997)
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[Publications] 島 岩: "(書評)引田弘道著『ヒンドゥータントリズムの研究』" 北陸宗教文化. 10(4月刊行予定). (1998)