1996 Fiscal Year Annual Research Report
法隆寺一切経の基礎的研究-大谷大学所蔵本を中心として-
Project/Area Number |
08451008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
竺沙 雅章 大谷大学, 文学部, 教授 (50025029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 正治 大谷大学, 文学部, 講師
横田 悳 大谷大学, 文学部, 講師
大内 文雄 大谷大学, 文学部, 教授 (50103114)
木村 宣彰 大谷大学短期大学部, 教授 (80103117)
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Keywords | 法隆寺一切経 / 法隆寺 / 林幸 / 古写経 / 法隆寺一切経書写勧進状 / 林幸勧進状 / 写経 / 一切経 |
Research Abstract |
法隆寺一切経には、縦4.7ミリ、横4.6ミリのほぼ正方形の「法隆寺一切経」という黒経印が押されている。この一切経の書写の経緯については林幸によって保安三年三月に記された「法隆寺林幸一切経書写勧進状」を解読することによってほぼ明らかすることができた。当時、法隆寺において書写された一切経の数は少なくとも7,100巻を上回るものであったが、今日、法隆寺て伝存しているのは、その一割にも満たない661巻である。この法隆寺一切経については、既に田中塊堂氏によって所在目録が公にされている。しかし、その目録には遺漏や誤記が少なくない。そこで本研究においては、大谷大学図書館所蔵の法隆寺一切経は勿論のことであるが、その他の大学図書館や寺院などが所蔵する法隆寺一切経についても調査し、所蔵者別に「法隆寺一切経リスト」を作製した。これによって田中氏の研究を補うことができた。また、大谷大学所蔵の法隆寺一切経を精査することによって不確実であった一切経の書写の経緯を解明することができた。即ち、従来の研究において法隆寺一切経書写の開始年次は、承徳三年(1099)に書写された『大宝積経巻七十四』が現存することから承徳年間のこととされていた。しかし、大谷大学所蔵の一切経の中には、長和元年(1012)に行教によって書写された『十地経論巻十』や応徳三年(1087)に徳厳が書写した『大威徳陀羅尼経巻十五』などが伝存している。これらの経論の存在によって法隆寺一切経の書写開始の時期が明らかになったといえる。さらに、本研究によって法隆寺一切経の書写者として、先の行教・徳厳の他に久仁・尊珍・覚長などが明らかになったことは一成果である。
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[Publications] 竺沙雅章: "遼代華厳宗の一考察" 大谷大学研究年報. 第49号. 1-67 (1997)
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[Publications] 木村宣彰(共著): "『シリーズ・東アジア仏教 第2巻 仏教の東漸 東アジアの仏教思想I 羅什と玄奘』" 春秋社, 21 (1997)
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[Publications] 大内文雄(共著): "『シリーズ・東アジア仏教 第5巻 東アジア社会と仏教文化』" 春秋社, 29 (1997)
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[Publications] 大内文雄(共著): "『七寺古逸経典研究叢書 第2巻 中國撰術佛典(其之二)』" 大東出版社, 306 (1996)