1997 Fiscal Year Annual Research Report
血液製剤によるHIV感染被害者のソーシャル・サポート・システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
08451051
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Research Institution | NIHON FUKUSHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
牧野 忠康 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40199659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片平 きよ彦 東京医科歯科大学, 難治療患研究所, 助教授 (30092399)
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Keywords | HIV / 感染被害 / 血液製剤 / AIDS / 薬害 / 薬害エイズ / ソーシャル・サポート・システム |
Research Abstract |
東京HIV訴訟原告団に所属する感染被害本人・家族および遺族の「和解」原告が「和解金」の一部を拠出して「はばたき福祉事業団」を1997年4月に立ち上げた。この事業団は、被害者らの救済と薬害根絶を目的とし、(1)健康管理事業(2)相談事業(3)研修事業(4)調査事業(5)遺族弔意事業(6)啓蒙事業、などが掲げられている。 本研究では、「相談事業」と「研修事業」に着目した。研究者代表の牧野忠康が、はばたき福祉事業団から「専門相談員」の委嘱を受けて当事者同士の相談援助、ピアカウンセリングなどを含む専門的なスーパービジョンを行うとともに、相談援助担当者などの研修の専門プランナーとファシリテーターを務めながら、セルフ・サポート・システムの立ち上がりと運営のプロセスとメカニズムについての参与観察による研究をおこなった。 当事者といっても、未成年被害者、成人被害者、家族、遺族、遺族でも子どもを亡くした遺族と夫を亡くした遺族、遺族でかつ二次感染被害者とそれぞれの立場で問題状況が異なり、相互理解には困難が多いことが分かった。とくに、生存被害者と遺族の間では、AIDS医療の進歩の光を受けるロング・タ-ム・サバイバーと、無念の想いの遺族の深刻な心情に深い溝がある。こうした多様な問題状況の中で、共通した問題は社会的偏見と差別への恐れが非常に強いことである。ここに、セルフ・サポート・システムにソーシャル・サポート・システムを組み込むことの重要性と困難性のあることが確認された。 本研究では、セルフ・サポート・システムの立ち上げと展開に必要なリーダーの研修のプログラム・モデルの開発を行い、実際の運用も試みた。この研究成果は、セルフ・サポート・システムとそのソーシャル・サポート・システムの構築と展開に普遍化の可能な理論的かつ実践的な貢献ができたものと考えている。
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Research Products
(1 results)