1998 Fiscal Year Annual Research Report
前近代中国知識人の日常活動に関する政治・社会・文化史的研究
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08451080
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Research Institution | Tohoku Univ. |
Principal Investigator |
熊本 崇 東北大学, 文学部, 教授 (00153354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 秀一 東北大学, 文学部, 助教授 (80190586)
中嶋 隆藏 東北大学, 文学部, 教授 (10004061)
下倉 渉 東北大学, 文学部, 助手 (40302062)
安田 二郎 東北大学, 文学部, 教授 (90036666)
山田 勝芳 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (20002553)
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Keywords | 知識人(前近代) / 士大夫 / 家 / 日記 / 書院 |
Research Abstract |
・前年度購入の諸文献に加え〈宋史研究集〉二十余冊を購入し、文献史料の一層の充実をはかった。 ・一方で各地の大学・図書館等での資料蒐集も、継続した。 ・代表者と分担者は随時獲得した資料・成果について情報を交換した。 ・代表者は、北宋の司馬光「日記」、曾布「曾公遺録」に続き、南宋周必大の紹興末から淳煕の間に至る数種の日記すなわち中央政府へ出仕した期間における「龍飛録」「親征録」「思陵録」や、官職を離れた際の旅行記というべき「帰廬陵日記」「間居録」「泛舟遊山録」「乾道庚寅奏事録」「乾道壬辰南帰録」等を調査し、当代士大夫の政治的生活につき一定の理解を得るとともに、北末代の応天書院を例に、日常的学問教育の場と政治的行為との相関につき考察した。具体的にはそこに学びあるいは講学した諸人脈、例えば范仲淹・富弼・石介ら後年の慶暦「改革」派と反「改革」派の尖兵たる張方平の人脈がここに交錯する事実を明らかにし、同書院が後年の慶暦「改革」のいわば縮図であるとの結論を得た。これによって書院という空間における日常性のなかにも、やがて党争にまで至りうる政治性の萌芽が不可分に存在するのみならず、知識人個々においても日常生活は同時に政治的生活でもありうるとの、前近代中国社会のありように対する確信を深めえた。 ・分担者は例えば、朱子学の権威が確立した以後にあってもなお、これを目的化せず、自身を「聖人」となさしめるための日常的思惟・研鑚の過程とその著述活動につき、論考を著した。 ・以上の成果をまとめて研究成果報告書を作成した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 熊本 崇: "宋仁宗立太子前後-慶暦「改革」前史-" 集刊東洋学. 79. 44-68 (1998)
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[Publications] 熊本 崇: "慶暦から熙寧へ-諌官歐陽修をめぐって" 東北大学東洋史論集. 7. 154-238 (1998)
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[Publications] 山田勝芳: "奏漢代手工業の展開-奏漢代工官の変遷から考える-" 東洋史研究. 56/4. 1-32 (1998)
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[Publications] 山田勝芳: "中国古代の「家」と均分相続" 東北アジア研究. 2. 235-262 (1998)
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[Publications] 安田二郎: "西晉武帝好色攷" 東北大学東洋史論集. 7. 1-100 (1998)
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[Publications] 中嶋隆藏: "真蔵経の三業三学思想" 駒沢大学禅研究所年報. 9. 3-15 (1998)
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[Publications] 中嶋隆藏: "季師政の運命論" 日本中国学会五十周年記念論集. 907-920 (1998)
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[Publications] 三浦秀一: "元末の宋濂と儒道仏三教思想" 東洋古典学研究. 6. 49-81 (1998)